「定期テスト」と「進路選択」のヒント
はじめに
今回は「定期テスト」と「進路選択」のヒントを考えてみよう。
若い皆さんに伝わり易いように、私の教え子の事例などを借用します。
一口に「定期テスト」といっても、二期制が多い中高一貫校と、三期制の公立高校では違いますね。テストの実施時期も、教科ごとの目的も、評価も異なります。
細かなことを言ったらきりがないので、「ヒント」として、先輩の例を掲載しておきます。参考にして欲しいのですが、人それぞれの部分もありますから、参考にするにあたっては、大局からの判断をお願いします。
高校3年生
ポイント
- 今年の大学入試は「安全志向」が強まるだろう
- 首都圏私立大学「競争率」が高まるだろう
1. 長嶋光代さん(仮名)の「戦略的な定期テスト対策」を参考にしたい
都立高校の3年生である長嶋さんは、受験勉強の戦略家です。
彼女は高校1年の時から、定期テストを有効に活用して、「高3の秋」に学力を爆発させる三つの作戦を考えました。彼女は「自分はカメだ」と割り切って、自分のカンやヒラメキを頼りにしないで「カメ作戦」を進めたのです。寓話の「ウサギとカメ」のお話の応用です。実は、4年上の実姉がヒラメキ・スルドサに頼って、受験に大失敗したのを観ていましたから、「愚直」な作戦を取ったと思われます。
彼女の作戦は「シンプル3」でした。
- <作戦1> 定期テストの後は、確実に「振り返りシート」をつくること
- <作戦2> 学年の平均点と比較する。教科ごとにプラスとマイナスをつけること
- <作戦3> 前回との差、頑張った点・反省点を文章にすること
次に彼女が実施したことは、成績が悪くても、両親と塾の先生にコメントをつけて提出することでした。これは「苦痛を伴うこと」でした。成績が悪いときもありますからね。しかし、自分の意志を確かめるために「言い訳しない」と決めたのです。
長嶋さんは、元国連難民高等弁務官だった緒方貞子さんに憧れていました。彼女のように国際社会で活躍し、社会に貢献したい。そこでまずアメリカでグリーンカードを取得したいという「大志」をもっていたのです。だから妥協しなかったのだそうです。凄いですね。いま、アメリカにいます。
2. 杉本正文君(仮名)は、受験科目を絞って勉強してはダメだと反省をしている
杉本君は、慶應義塾大学か早稲田大学に進学したいと思っていました。そこで早くから「受験科目に絞った勉強」をしていたので、直前になって慌てました。
入試問題は、幅広い分野から作問されますから、「問題を見る目」に教養が要求されます。例えば、今年の早稲田・理工学部の英語は「知性について」がありましたね。ここで課題文の背景となる知識・教養が要求されました。「(背景まで掘り下げて教えてくれるお茶ゼミ√+英語の)西川先生の講義がありがたかった」という声を思い出しました。出題文を、幅広い知識・教養から考えることがポイントですからね。経済学部の場合は、数学で受験する方が有利だと言われますね。AIの時代ですから統計学や数列などの基礎学力が要求されますね。
私は、この観点から、早稲田の政経学部は出題方針を変更されたと思います。
高校2年生
ポイント
- 「共通テスト」初年度で混乱するかもしれない
- 「記述式(国語・数学)」・「英語4技能」に明確な対策が求められる
3. 鈴木明美さん(仮名)「共通テスト」の動向が気になって仕方ない
「共通テスト」の初年度にあたりますから、心配になって当然です。6月7日(金)になってようやく配点や問題作成方針が公表されましたが、細部の方針が固まらない。しかし、「入試改革は確実に実施されます」から、しなやかに対応する方法を検討しなければなりません。
そこで私は次の<対応方法五つ>を考えましたので、参考にしてください。
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<対応方法1>一番正確な情報を入手すること・不安な点はお茶ゼミ√+に質問する
一番確実なのは、お茶ゼミ√+が「ベネッセ経由」発信する情報です。
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<対応方法2>学校の「定期テスト」・「模試」で、学力の抜けを防ぐ
ここは例年と同じです。反復演習を丁寧にすること。お茶ゼミ√+の「Weeklyテスト」が有効です。
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<対応方法3> 校内実力テスト・進研模試・お茶ゼミ√+模試で良い成績を取ること
「共通テスト」を意識した模試で傾向を把握する。校内テストの順位に留意しよう。
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<対応方法4>2020年6月14日(日)の「GTECでCEFR(セファール)A2以上」を取ること
難しくないはずです。レベル獲得は必須です。高3の6月に取っておくとその結果を共通テストで使えます。秋からの受験勉強がラクになりますからね。
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<対処方法5>記述式(国語・数学)の演習をすること
自分だけで勉強するのは無理です。記述の仕方に慣れるまで指導を受けてください。
注意したいことは「歴史」「地理」の出題が大幅に変わるだろうということです。
資料・図表・地図・グラフなどを多用する出題が予測されます。学校の「定期テスト」の出題も変化してくることでしょう。他の教科は従来通り。
たかが「共通テスト」、されど「共通テスト」です。冷静な努力をしましょう。
高校1年生
ポイント
- ライバルになる人が公立高校に入学。競争が激化する
- 進路選択で「なりたい自分」をハッキリさせることが大切になる
4. 宮田浩二君(仮名)医学部志望でファイト満々。明るく行動的である
今春、地方の公立中学から、都内公立高校に入学した宮田君は「現役で国立大学の医学部に合格する」という強い意志を持っています。彼は、医学を通して人類に貢献するという強い意志をもっています。祖父が地域医療に貢献したことや、伯父がアメリカユタ州で心臓移植の勉強をしたことも理由かもしれません。「風に立つライオン」(さだまさし・歌)に共感したとも言います。国境のない医師団に関心をもっています。
彼は高校の「定期テスト」も頑張って、トップ進学校で最優秀になろうという野心に燃えています。定期テストは「勉強した範囲・学習時間も限定」されているのだから「チャンスは充分にある」と言います。そこで、部活も剣道部に入ったから時間が不足するので、「復習を重点に置く勉強」をすると言っています。逞しいです。
中学3年生
ポイント
- 中高一貫校は「校内の学力格差」が明快になる
- 海外の大学に進学しようという人もいる
5. 松戸明巳さん(仮名)海外の大学も視野に入れている、世界中で働きたい
松戸さんは、帰国子女でないけれど、「世界中の大学」を視野に入れて進学先を模索しています。彼女は、お茶ゼミ√+の卒業生で、アメリカのハーバード大学などに進学した先輩に憧れています。
私は、10年以上前から、ベネッセ「ルートハーバード」の海外トップ大学進学支援プログラムを見てきました。海外の大学に進学するためには、「日本式の勉強ができる」だけでは希望をかなえることができません。「自分は何を学んできたか」・「進学先で何を勉強したいか」・「将来どんな仕事をしたいか」を明確に持っていなければ合格できないのです。それを文章(エッセー)にしたり、話したり(プレゼン)できないと合格できないのです。そこで、二冊の本を紹介します。入試問題です。面白いですよ。
- 『ケンブリッジ・オックスフォード・合格基準』ジョンファーンドン著河出書房新著
- 『あなたは自分を利口だと思いますか?』小田島恒志・小田島紀子訳 河出書房新書
中学2年生
ポイント
- 校内の学力格差が明快になる
- 「ナカダルミ」の時期に入り、落ちこぼれの生徒が出る
6. 山崎充さん(仮名)生徒会活動・学校行事・部活動で活躍するファイター
サッカー部のエースの山崎君は「文武両道」を体現した好少年です。簡単に「マイッタ」と言いません。チームプレーを大切にしています。
将来はヨーロッパでスポーツビジネスをやり、エージェントになりたいと思っています。優秀な選手を売りこむ。日本に選手を紹介する仕事です。この分野で国際的に活躍する日本人が少ないからと意欲満々です。
この夢を実現するために、「なんでもやってやろう!」と前向きに取り組んでいるのです。東京五輪のボランティアを希望していましたが、中学生はダメだと聞いてガッカリ。個人的にできることを考えようとしています。
中学1年生
ポイント
- 中学入試を通り、同レベルの友人たちと競い合い
- 優秀な異年齢集団の中で能力格差が見えてくる
7. 安藤加奈子さん(仮名)10年後の自分の姿がイメージできない
私立中高一貫のトップ進学校に入学した安藤さんは、ご両親と「10年後の仕事の形」を話し合うことが多いようです。一貫校を卒業するのは6年後。大学を4年で卒業したとして、安藤さんは「10年後に社会人になる」からです。
その時、社会はどうなっているのだろうか?
2011年に、アメリカのC,Nダビットソン教授が『現在の小学生の65%は現時点ではまだ存在していない職業に就くことになる』と発表し、衝撃を与えました。2014年にオックスフォード大学のオズボーン准教授らが『10年間で消える職業。なくなる仕事』を論文で発表しましたね。実際に、人工知能(AI)が日常生活を変えつつありますね。外国人労働者も多くなり、国内も急激にグローバリゼーションが進展していますね。そのような時、「自分自身の在り方」を考えて不安になるのも当然ですね。
10年後といわず、これからどうなるのでしょうね。安藤さんの不安は、みんなの不安です。
しかし、どのような「未来」が待っていようとも、私達は逞しく生き抜いていかなくてはなりません。そのためには「確かな学力」が必要です。「次代を担うみなさん」には、しっかり勉強して「大志」を実現してほしいと思います。
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