ハロウィンと日本の祭り
はじめに
ハロウィンが近づきました。
街角の商店街は、お化けカボチャ・魔法使いの帽子を被った店員が声を張り上げています。
「ハロウィンって、どんな祭りなの?」
「祭日はいつなの?」と質問すると、キョトンとしています。(笑)
日本人は祭り好きですね。信仰より「成り行き」が多いですね。(笑)
といっても、国際的に活躍しようという君は、外国の祭りについての知見と「日本のお祭り」についてしっかり知識をもっていてくださいね。
ハロウィン(Halloween)は ケルト人の祭り
古代ケルト人の夏から冬への季節の変わり目の「悪魔払いの祭り」がハロウィンの起源だといわれています。
キリスト教会は、ケルト族への布教にあたり、この伝統的なケルトの祭りを、カトリック教会の万聖節(11月1日)の前夜(Hallows Eve)にあたるという理屈をつけて、受け入れ、それが訛って、Halloweenになったといわれます。
だから、ハロウィンの祭日は10月31日です。
その後、アイルランドからアメリカ大陸に移住した人々が、「野菜の蕪(カブ)」から、アメリカ産の「カボチャ」に代えてくりぬきを作ったので、今ではカボチャのくりぬきの方が親しまれていますね。
また子供たちが仮装して、近所の人に菓子をもらいに歩くというようなハロウィン行事を発展させたのだといわれていますね。
ケルトの文化は 現代も生きている
ハロウィンの発祥が「古代ケルト人だ」といっても、君には馴染みが少ないでしょうね。でも、ケルトの文化は現在でも、脈々と生きているのですよ。
君の家庭に独特の「ケルト模様」のタピストリーが飾ってありませんか。
君は「エンヤの音楽」が好きですか。私は仕事の間のBGMに使っています。拡がりがあって、おおらかだから好きなのです。
テレビのCMにも使われていましたね。きっと君も聴いたことがあると思います。
また、「リバーダンス」のルーツもケルトですね。足だけで激しく踊るダンスです。フィギアスケートの本郷理華選手も使っていましたね。
「ムーミン童話」も、ケルトの流れだといっていいですね。私の女房は「ミイ」が好き。息子は「スナフキン」が好きでしたね。
ラクビーの快進撃はアイルランドに勝利して弾みをつけた
私たちが、普段イギリスと呼んでいる国も、イングランド・ウエールズ・スコットランド・アイルランドを出発点としていますから「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」といっても、歴史を振り返ると、合意といっても、強引に統一された国家であることが分かります。
だから、今も伝統も文化もバラバラなところが残っていますから、ラクビーのチームも独立していましたね。
古都エディンバラは、街並みからしてロンドンと全く違います。魅力的です。
いま、EUから、イギリスが離脱することでもめていますが、なかなか収まらないでしょうね。私は離脱しない方がよいと思っています。
「MC」・「MaC」のルーツもケルト
ケルト系のアイルランドやスコットランドの人名には、かしらに「MC」とか「MaC」という接頭語がついている場合が多いですね。
「マクドナルド・ハンバーガー」のようにです。MCとは「~~の息子」という意味ですね。
ケルト民族の子孫は、ブリテン諸島のアイルランド・スコットランド・ウエールズやフランスのブルターニュ地方・スペインにいるようです。
だから、ケルト語・ケルト民族の伝統美術・工芸文化が伝わっているのです。
実際に、古いヨーロッパ大陸は広くケルト民族が支配するところだったからです。
歴史を見ると、彼らは激しくローマと対立していました。
カエサルの『ガリア戦記』には、ローマと対立したケルト人のことが記されています。
ケルト人は、統一国家を作ることなく、部族が分散し、ゲルマン人と混血したり、一部はアイルランド島などに追い込められたりしてしまいました。
ディズニーランドは日本にハロウィンを紹介し、広めた
いまディズニーランドは、ハロウィンの仮装イベントで華やかですね。
もともと、創業者のウオルト・ディズニーは、アイルランドからの移民の子孫だから、この祭りをディズニーのイベント事業として採用したのでしょうね。
ディズニーランドの仮装行事は、日本文化に大きな影響を与えています。
五穀豊穣の神様を祀る
さて、日本の祭りです。日本の神話について、「第2回」コラムで少し触れましたが、君は読んでくれましたか。
日本は、温暖湿潤気候だから、列島全体に、植物・木の実等が繁茂し、古くから豊かな「採集生活」ができました。
だから、農耕を発達させるまでもなく、自然を畏敬し、自然の恵みに感謝する「祀り」が基本になったと思います。
「ヤマ」「カワ」「カゼ」「カミナリ」「ウミ」など全ての自然に「人間を超えた力」と認め、「神様」「精霊」として崇め、祈りの対象にしたのです。
だから、日本の祀りは、「自然の恵み」・「豊穣」を願い、感謝することが基本です。
例えば、『古事記』 に記されている「宇迦之御霊神(ウカノミタマノカミ)」は、穀物・豊穣の神様で「稲の神様」です。伏見稲荷の主祭神です。
キツネは神様の伝令ですが、いつの間にか神様になっているようですね。
砂漠の民が求めた「一神教」
私は、宗教は「風土」と深くかかわっていると考えています。
日本の「八百万の神様」は、砂漠の中でひたすら「唯一の神」を求めた宗教とは、出発点が異なります。
若い頃、私はシリアやヨルダンの砂漠を数日間かけて歩いたことがあります。旧約聖書に出てくるモーセの足跡をたどる旅です。
「十戒」を授かった後で、なお40年間も荒野をさまよって「神を求め続けた」と記されていますから、私は少しだけその追体験をしてみたのです。
熱い砂漠の中は何もないのですから、エジプトの神々のように「偶像を造る」必要もなかったのだと思いました。風土は偶像崇拝以前の問題です。
この旅で、ユダヤ教もキリスト教も、砂漠の宗教であることを実感しました。
私はその後、10年間ほど、暇を見つけて中東各地を旅しましたが、その中で、イスラム教はサウジアラビアの砂漠と切り離して理解することはできないと痛感したのです。
いまは戦争で危険な地域ですね。
収穫を感謝する新嘗祭・大嘗祭
新嘗祭(にいなめさい)は、一年の収穫を神様に感謝する祭りです。
11月23日に行われます。現在は「勤労感謝の日」になっていますね。
最近、祝日を動かしていますが、この日だけは動かないでしょう。
天照大神をはじめ神々に、新穀とご馳走を捧げて感謝する「祀りの日」だからです。
『古事記』では、天照大神が孫のニギニギの尊(瓊瓊杵尊)に「稲」を与えて、国土を豊かな「瑞穂(ミズホ)の国」にするように命じたとあります。
だから、天皇陛下は宮中の田んぼで「田植え」を行い、秋に収穫し、新嘗祭で神々に捧げるという行事を行っているのです。
まさに農業神です。今年は新しい天皇が即位して初めてですから「大嘗祭」というのですね。
庶民の祭り・宮中の祀り・・・。君は、この機会にいろいろな祭りについて調べたり考えたりすることを勧めます。
日本の祭りは、「自然の恵みに感謝する祈り」の祀りです。
ところが、最近の台風・地震災害のひどさは目に余るものがあります。
「大嘗祭」で、新しく即位した令和の天皇は、神々にどのような感謝と祈りを捧げるのでしょうか。
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