イロの散歩道~君のイロは何色ですか~
はじめに
私は先日、上野で「ゴッホ展」を観てきました。
ゴッホの絵画を中心とした美術展でしたが、絵画の成り立ち・創作の背景を伝えるものが集められていました。
ゴッホの絵は、感性を思い切り発揮する「ひまわり」や「糸杉」に人気がありますが、絵画のなかには、全く異なる画法もあるのですね。
例えば、絵画を描く技法です。シュヴルールの「色彩調和論」などです。
シャンソンに「バラ色の人生」という歌がありますが、君の人生をイロで表すとしたら「何色ですか?」。
私は明るい色が好きです。
大学・高校にもスクールカラーがありますね。
お茶ゼミ√+のカラーは???
受験アドバイス
小説を「イロ」・「オト」に置き換えて読む。評論・論説文もいいですね。
「発想の転換」は、芸術・芸能・IT関連が先行していますが、科学では飛躍になるし、AIの時代には、より柔軟さが求められますからね。
記憶力の上に想像力などつけるものが期待されています。イロで考えるのもいいですよ。
スーラの絵に躍動感がない理由は?
シカゴで、ジョルジュ・スーラの『グランド・ジャット島の日曜日の午後』を観た時に、非常に不思議な感覚にとらわれました。
平凡な公園の風景を描いたものですが、どことなしに「これまでに親しんできた絵画と違う」のですね。
縦2メートル・横3メートルという巨大な絵画だから、少し離れた所から観なければならないのですが、「躍動感がない」のです。
静かで「線が動かない」のですね。
色と光と影が不自然なくらい見事に配置されているのですが、どことなしに不自然です。
受験アドバイス
絵画の技法はいろいろあります。次のうち知っているものはどれですか。
- インパクト(厚塗り)
- Wet in Wet(日本画のたらし込み)
- グラデーション(ぼかし)
- Scratching・スクラッチ(ナイフでひっかく)
- テンペラ(卵で顔料を練る)
- Mosaic・モザイク(大理石塊)
- フレスコ画(石灰のモルタル塗り)
- ふき取り
- はじき画法
- 点描画
「色彩理論」で描く点描画
点描画は、ミシェル=ウジェーヌ・シュヴルールの「色彩の同時対照の法則」やオグデン・ルードの「近代色彩論」など、光と色に関する理論や、印象派の「分割主義」をさらに追求した「科学」に裏付けられた絵画なのです。
君は、スーラ、シニャック、ピサロ、ドランの作品を知っていますね。
点描画は、線ではなく「点の集合」や鮮やかな「細かな筆のタッチ」で、明るく表現するところに特徴があります。
「色彩理論」で武装された作品ですから、1886年に開かれた第8回印象派展覧会では、その評価を巡って賞賛と非難が巻き起こったそうです。
「科学と絵画の関係の大転換」があるからですね。科学で絵画を描くということです。
受験アドバイス
絵画を、ただきれいだとか、漠然と感動したというのではなく、絵画の背景になっているものを「複眼で見る」「多様な観点から観る」訓練も大切にしたい。
多面性がおもしろいですよ。
「色の配列」を駆使した印象派
日本人が好きなルノアール、モネのような印象派の画家は「色の配列」を使った絵を描きました。
だから、どうしても光の変化が鮮やかな「屋外」で描くことが多かったですね。そこが印象派の限界にもなります。
この視覚的な絵画を、スーラらが更に追及していったのです。
点描画は「新しく生み出された絵画技法」なのですね。
当然「絵画とは何か」という問題にぶち当たりますね。
受験アドバイス
<受験の教養・知識> 残念ながら、ギリシャ・ローマ時代の名画が残っていません。どんな顔料で、どんな絵画が書かれたのかわからないです。しかし、海底から発見された彫刻・各地で発掘された彫刻などにより、推測できるところもあります。
その中で、クレタ島に発見されたフレスコ画は素晴らしいです。
引き立てるイロを補色する
だから、点描画をよく観ると、「強い色の横に、それを引き立てる色が補色」され、絵画を観た人の「印象を際立たせるように計算」されているのですね。
パレットの上で「絵具をかき混ぜて描く」ことをしないです。
視覚混合の理論に基づいているので、「混色が可能」になるのですが、どうしても「強さや統一感を欠く」のです。目の感覚・誤差を応用しているのです。
彼らの作品を、フェリックス・フエネオンという評論家は「新印象派」と名付けましたが、これは絵画表現方法の「革命」だったのです。
受験アドバイス
いろいろな知識・データ・図表などを組み合わせて、総合的に考える力が「実力」と言われます。色の混ぜ合わせ(混色)により、独自の画風を作り出す画家も同じです。
これからの大学入試では「タブレット端末機」を積極的に利用した出題がされると思います。IT技術の進歩は入試制度そのものを変えていくでしょう。
ニュートンの「光の屈折」に対立したゲーテ
君は、文豪のゲーテが絵画にも大きな影響を残したことを知っていますか。
ゲーテは「私達が認識する“色彩”は、光の行為である」という『色彩論』を書いています。
ニュートンは「光の分散をプリズム実験」によって発見していましたね。
スペクトルを通して「光の屈折率」によって七つに分解されることです。
ゲーテは「ニュートンの光学」を批判しています。
フランスの化学者であるシュヴルールは、色彩を「類似色の調和」「対比の調和」に分類しました。
スーラやシニヤックの絵画の背景に、色彩論という「科学理論」があったのです。感性の前に「理論」が存在する絵画だったのです。
受験アドバイス
いろいろなものを横並びに考える「水平思考」つまり垂直に掘り下げる思考力が求められます。例えば、「光」は「波長」なのか、「粒子」なのかという議論が長い間ありました。最近では粒子でもあり、波でもあるという二面性を持つことが分かり、電磁気学から「量子力学」になっていますね。アインシュタインは、光は粒子(光子)であり、光子の流れが波になっていると考えたようですね。これを「光量子論」というのだそうです。この分野も興味津々ですね。
ゴッホに影響を与えた浮世絵
素人の私は、絵を描くとは「キャンバスの上に、単純にイロを載せること」としか捉えていなかったですが、最近になって、絵画にいろいろな「技法」があることを知りました。
そういえば、「遠近法」にしても、しっかりした理論があるのですし、江戸時代の日本の浮世絵は、この遠近法の影響を受けていますね。調べると面白いです。
ゴッホにしても、単純に写生しているのではないし、感情の赴くままにキャンバスに色をぶつけているわけではないのです。
日本の浮世絵が、ゴッホに大きな影響を与えた話は有名ですが、モネやドガらに与えた影響を「ジャポニズム」と言いましたね。詳しくは改めて・・・。
受験アドバイス
ヨーロッパの遠近法では「影を描く」けれど、浮世絵には影がない。なぜか?
いろいろな論説がありますが、私は、「木版画だから」と考えています。
西洋の絵画は、歴史的に言って「写実画」が多いけれど、日本には「デフォルメした絵しかない」という説が多かったのですが、オランダのランデン国立民族学博物館で「葛飾北斎の風景画」が発見されてからこの説は消えたようです。
将来、いろいろな角度から「各国の美術の歴史」の変遷を研究するのもいいです。
パソコンでカラー印刷する
カラー印刷は、シアン(C)マゼンダ(M)イエロー(Y)とブラック(K)の四色の配合比率を変化させて、色の効果を引き出しますね。
私は比率の計算が出来ませんが、「色の三原色」と「光の三原色」の違いを知って、大変面白いと思いました。
カラー印刷は、「白を基調」にして色を重ねて色を濃くしていくのそうですが、カラーテレビなどは、「黒を基調」にして光を重ねていって、少しずつ明るい色を作り出していくので、基本が異なるそうですね。
カラー印刷は、C・M・YにK(黒)を加え「色を混ぜて」多様な色を作り出しているのですね。
色相(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Brightness)など色の属性を考慮して「色彩環」を作り、多様な要求にこたえていくのだそうですが、面白いですね。
カラー印刷の発展は、名画の普及・一般化にも役立ち、「絵画の存在の仕方」を変えていきました。
また、インターネットの普及により、色彩の分割・再現化は、世界の一流美術作品を、自宅にいて簡単に鑑賞出来るようになりました。ありがたいことです。
光では、真空放電・ネオンサインなど面白いですね。
これらは「光学物理学」の分野だと聞きますが、大学ではこうした分野を学習するのもいいですね。
受験アドバイス
- 交通信号機もカラー・コーディネートの一つですね。色彩心理は、交通信号でも使われていますね。 CIE(国際照明委員会)によって、信号機は赤・緑・黄・白・青の五色と規定され、交通信号機には赤・黄・緑の三色が割り当てられているからです。ほぼすべての国で信号機の「止まれ」には赤、前に「進んでも良い」には緑(青)が使われています。学問・研究分野としてワクワクしますね。
- 次のスクールカラーの大学を当ててください。志望大学ですね。
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