人権思想を理解しよう~「君の勢い」を発展させる時が来た~
はじめに
2021年度の大学入試・高校入試が終わり、次のステージの開始ですね。
いよいよ次の入試に向けて、「一歩前に」出る時が来ました。
君が「勇気と決意」を「行動で示す時」が来たのです。
苦しいですよ。だから、頑張る価値があるのです。
弱音を吐かず、毅然と立ち向かってください。君の奮闘を期待しています。
「志望校の窓口は、入試問題」です。だから、過去問から入りましょう。
特に「今年の問題の傾向」を分析して、積極的に春休み対策を立てて、春期講習にチャレンジしましょう。「いまから2か月」で差がつくのです。
さて、近年の世界情勢をみるとトレンドは「人権」です。入試のテーマです。
そこで、これまでの「人権思想」の変遷を理解することから入りましょう。
個別試験(2次試験)の受験者は23万人
国公立大学の2次試験の志願者は23万人、受験者数は19万人あまりだと文科省が発表しました。3月8日の中期試験・3月12日の後期試験が終わり、いよいよ「合格者」の発表と続きますね。今年は「地元志向」・「経済的負担が少ない地域」に受験者が集まったと聞いています。
これは、私立大学への進学者を含めて、著しい傾向です。
せっかく進学しても、「リモート講義」ならばどの大学でも同じだという声があります。「リモート留学」も始まっていますね。すべてはコロナ次第です。
さて、東京オリンピックが開催できるか、否か。「受験生への影響も大きい」ですね。「どんな状況になっても対処できる」ように準備をしましょう。
しかし、世界中のアスリートは大変ですね。「辛い状況下」で頑張っています。君と同年齢の人達の頑張りです。君も負けないで頑張ってください。
時代の風は「人権」から吹いています
アメリカ大統領の交代に合わせて、「自国第一主義」が終わったような感じですが、実際は、中国・ロシアを含めて「まだわかりません」ね。
コロナ対策も「自国第一主義ではダメ」ですが、ワクチンが不足していますからどうなるでしょうか。「生命倫理」ですから、富める国の人々も貧しい国の人々も「平等の対応」が求められています。
この「人権の平等」を否定したら、コロナは否定した人自身に還ってきますね。生命に関して「特権」は存在しないのです。ここが厳しいです。
受験アドバイス
ここで、天賦人権説(てんぷじんけんせつ)の整理をしておきましょう。これは、「すべて人間は生まれながらに“平等かつ自由な存在”で、幸福を追求する権利をもつ」という考え方です。イギリスのジョン・ロックが「市民政府二論」で主張し、アメリカの独立宣言・フランスの人権宣言・世界人権宣言、そして「日本国憲法の基本理念」になっている思想です。抵抗権も認めています。
支配者階級だけが持つ「特別な権利と力」
支配者が持つ特別な力のことを「特権」と言います。
「王権神授説」は、王の権力は創造主(=神)から与えられた特別なものであるという考え方です。チャールズ1世(英)、ルイ14世(仏)が有名です。
王の権力は神様から授けられたものであるから、神に仕えるように王に従いなさい。つまり人間は神様によって造られたのだから、「特別な存在の人」と、「一般の人」が区別されて当然である。
これは、神様が人間として現れたという日本の「現人神」に近い思想です。
これは、人間は猿とルーツが同じであるという「進化論」と対立しますね。
受験アドバイス
アメリカの一部の洲で、生物の教科書で「進化論を教える派」と「創造論を教える派」が対立して、社会問題化したことがあります(スコープス裁判)。現在でも、科学による「進化論」を否定し、宗教的な「創造論」を支持する人がかなり多くいます。例えば、トランプ前大統領を支持した「キリスト教・福音派」です。アメリカを理解するには、こうした背景の理解も必要です。
「動物」と「天使」の二つの顔を持つ
「すごく冷静で、素晴らしい」と思った人が「バカバカしい事故を起こして」マスコミに叩かれたり、悲しんだり、嘆いたりすることが多すぎますね。
だから、受験生である君は「まっすぐに前を見て」惑わされることなく、強くなくちゃいけません。強敵コロナも覆いかぶさってきていますからね。
最近の中国やロシアを見ていると、権力者にとって「人権思想ほど面倒なものはない」ことが分かります。古代中国では、地位や財産がある人を「貴」と呼び、普通の人々を「庶」と呼んでいました。「人権」が認められたのは「貴=支配階級」に属する人々だけで、「一般人=庶民」には人権はありませんでした。近年の中国の人権について、アメリカなどから「厳しく批判」されていますが、中国だけでなく、アラブなど世界中の国で「人権」が尊重されているとは言いきれないですね。しかし、多くの国で少しずつ「庶民が目覚めて」声を上げ始めているのも事実です。こうした状況を背景にして、人権が「大学入試のテーマ」になるのです。
ドイツの哲学者、イマヌエル・カントは『実践理性批判』の中で「自分及び他人を目的として扱え」と述べています。
しかし、日本でも支配者を自認する政治家・官僚・実業家などの中には、特権意識を強く持って「他人を手段として使い捨て」にする人がいますね。彼らがいろいろな不祥事をおこしています。迷わず「上級国民」とかいう言葉を使っている人がいますが、情けなくて悲しいです。とんでもないエリート意識です。君は是非、冷静でバランス感覚を持った人間になってください。
受験アドバイス
「生命の基準」で見れば、人間は誰も平等です。死ぬことも・病気になることも・老いることも、平等にやってきます。
「仏の教え」にはエリートと庶民の間に差別がありません。コロナは、富める人にも、貧しい人にも等しく「生命の基準」を突き付けています。
紀元前300年ころ、インドのアショカ王は、仏教の「平等思想」をもってマウリア朝の全盛期を作りました。「仏の前での平等」を政治で実践したのです。バラモン教の「カースト制度」など差別優先を拒否して、仏教の四諦思想にそって「生命の平等=無常」を中心に置いて政治を行ったのです。
コロナ禍は、自国第一主義ではなく、万民に共通する「生命の基準」でなければ乗り越えることができません。
「天は人の上に人をつくらず」か?
君は、福沢諭吉の名著『学問のすゝめ』を読んだことがありますか?
これは「講演」の記録ですから、分かり易いですね。
この冒頭に『天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず、と言へり』があります。この『言へり』に注目してみましょう。実はこの言葉は、福沢諭吉・本人が自分の言葉で言ってはないのです。福沢氏は、アメリカの独立宣言の序文『すべての人間は、生まれながらにして平等である』を意訳・引用しているのです。だから「・・・と言われている」で締めているのです。
初めから「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」は、福沢諭吉の言葉ではなかったのです。だから、続いて「・・・しかしながら実際には、賢い人と愚かな人、貧しい人と富んだ人、身分の高い人と低い人がいて、雲泥の差がついている」という文章が続きます。
これこそが福沢諭吉が意図したもので、「だからこそ、その不平等な差を埋めるため、不平等を生まないために、学問をして自分を磨きましょう」と説いたのです。こちらの方が広いし、深いですね。まさに「学問のすゝめ」です。
受験アドバイス
明治憲法では、「主権が天皇」にありましたから、「臣民=けらい」である庶民には「基本的人権」はなかったですね。だから、ルソーの『社会契約論』が、中江兆民によって翻訳された『民約論』が、庶民に影響力を持つまでに至らなかったですね。この思想は、日本国憲法になってから普及したのです。
いま、憲法改正の議論がありますね
君は、日本国憲法の起草原案が「英文」であったことを知っていますか?
作家の山本有三らが口語訳したのです。GHQが起草し日本に与えたものだから「仕方なしの民主主義」だ、だから改憲せよという意見が出るのです。
改憲論者は、天皇は「象徴」だから、現行憲法は「天皇制」にそぐわないというのです。君は、どのように考えますか?
日本国憲法は、社会契約説にそって「国民主権」・「基本的人権の尊重」・「平和主義」の三大原則を持っています。「人権」は、この原則にそったものですから、改めて「憲法第11条・第97条」を見て考えることにしましょう。
憲法は、次年度からの「共通テスト」で、時事的・実用的なテーマとして取り上げられる可能性があります。課題文として最適ですから。
受験アドバイス
フランス革命では、まず「特権の廃止」を宣言しました。その上で「人権宣言」をしたのです。その逆ではないのです。そして、「アメリカ独立宣言」(1776年)は「特権」を持っていたイギリスに対するアメリカの「対等」の主張なのです。
人種差別・分断などが問題になっているアメリカの新政権が、どんな形で世界的に人権を擁護し、不平等を解消するために行動するかに注目したいです。
私もあなたも「対等」な人間です
「社会契約論」を実生活にそって考えてみましょう。
私たちは日頃、重要なことは「サインをする」とか、「印鑑を押します」ね。これは「契約」を実行するということです。社会のあらゆることが『契約』によって成立しているのです。オレオレ詐欺も入学式も、契約のサインによって始まります。契約は、「自律した、判断力のある人間」を前提にしています。
ジョン・ロックは『市民政府二論』(1689年)で「自分及び他人の生命・自由・財産などを維持」するために、他人と「契約」を結び、国家・社会をつくったと記しています。社会契約の思想は、ルソーによって『社会契約論』でまとめられ、私たちの生活に根付いています。
国際的にも同じことが言えます。「国際的な契約=国際法」を無視したり、勝手に契約を破棄したりする国家・企業・個人は信用されませんね。
受験アドバイス
グローバルでビジネスを展開する時代です。これからは、ますます海外取引が「当たり前」ですから、いろいろな国の法律・弁護士活動について知っていく必要があります。例えば、イギリスの弁護士には,バリスタ―(barrister)とソリシター(solicitor)というふたつの資格があります。前者は法廷弁護士・後者は企業のビジネスを手伝う事務弁護士です。アメリカ合衆国には区別はありませんが、州ごとに資格と活動範囲が異なります。将来、法律の分野で活躍したい人は、各国の歴史や文化について広く勉強しましょう。
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