Over the rainbow~現実離れした夢・実現可能な夢・虹の向こう側~
はじめに
Over the rainbow・・・
「夢」を追いましょう。夢は、君を大きくさせます。
夢は「君の未来」です。なりたい自分、拓きたい世界を描くツールです。
大谷翔平選手、藤井聡太さんはいつも「まだまだ未熟だ」です。「次に向けて精進します」という。
君と同世代の人の活躍をみると、ファイトが燃えますね・・・。
今回は「日本」にこだわり、日本の文化・伝統を中心に考えましょう。
次の入試も「マスクをして受験」でしょう。
その覚悟ですべて取り組みましょう。「負けてたまるか!!」です。
Somewhere over the rainbow Way up high
夢は実現させるためにみるのです。
夢は枯野をかけ廻る
これは「誰の俳句ですか?」もちろん、知っていますね。
松尾芭蕉の「辞世の句」として有名ですが、芭蕉は、これは完成品ではなく、これから「まだ推敲しよう」としています。
正式には「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」ですね。松尾芭蕉51歳。
なぜ大阪で亡くなったのでしょうか。
いろいろな説がありますが、私は、芭蕉は「長崎に行きたかったが、その途中で体調を崩した」という友人の説に賛成です。
長崎に行けば、「南蛮(西洋)の新しい物品やニュースがある」と聞いたので、興味津々で大阪まで来た。芭蕉は「日本の文物に飽き飽きしていた」というのです。が、旅の途中で病気になってしまったというのです。
いかにも芭蕉らしく、”やる気満々“の男らしいから賛成なのです。「こんなところで死ぬもんか!」という気概にピッタリです。勿論、他説もあります。
松尾芭蕉が、長崎まで行っていたら、「どんな俳句」を詠んだでしょうね。
きっと、『奥の細道」の世界とは、全く異なる世界を拓いたことでしょう。
「夢」は、新しい「刺激」と共にあります。さぞかし、芭蕉は無念だったでしょう。芭蕉にとって、「時間はあがき」だったでしょうね。
伊賀上野の出身ですから、幕府から情報収集を依頼された隠密(スパイ)だったという説までありますね。
芭蕉の訪問地は、風流を解する「経済的に豊かな支援者」がいる地域です。ゆとり風土・文化がないと「句会」を開けません。こうした側面も理解しておきましょう。どの旅も、貧しくトボトボと・・・ではなかったです。
受験アドバイス
芸術は、スポンサーがあって成立するものです。古代ギリシャのパルティノンを造ったフェイディアスに潤沢な資金を提供したのはペリクレスです。ミケランジェロの強力スポンサーはロレンツォ・デ・メディチでした。支援者は、国王・貴族・ブルジョワと変わりましたが、最近では企業が多いです。現在の多くの美術館はブルジョワがつくりました。絵画は資産です。売れ筋の絵画や版画は「工房」で大量に製作・販売したのです。画家より画商の活動分野です。
「変化する」ことを無常という
むかし「お肌の曲がり角は24歳だ」といわれました。いまは、ものすごく化粧が上手になっていますから、スッピンをみないとわかりませんね。(笑い)
絶世の美女といわれる小野小町が「花の色は移りにけりな・・・」と嘆いたのは、16~18歳のころだといわれます。が、70歳過ぎてもスベスベ肌の時代が来ましたね。私は「化粧より栄養」だと思います。栄養バランスの影響が大きいと思っています。しっかり食べて、寝る。受験生の原則でもあります。
『祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし・・・』
『平家物語』の冒頭ですから、君にもなじみがあるでしょう。
私が幼いころ、近所のお爺さんが、琵琶を奏でながら「謡曲」を詠っていた記憶があります。琵琶は独特の音色と響きです。いにしえ、盲目の琵琶法師は「時間」の虚しさを、朗々と謡い継いだことだろうと思います。
仏教を背景にした「無常観」を伝えるには、低音でサビが効いた琵琶の音色がよく似合います。小泉八雲の『怪談』で、<耳なし芳一>が弾いたのも琵琶ですね。
受験アドバイス
「永遠に美しくありたい」というのが人情です。三島由紀夫の作品の中に『卒塔婆小町』という戯曲があります。深草少将と、永遠の美女・小野小町の恋物語を新しい視点と解釈で「新しい作品」にしたものです。
能舞台で上演されますが、私は、高校2年生の時に「何も知らずに」主演・演出をしました。謡曲に詳しい生物担当の先生に呼ばれて質問され「ビックリ」した記憶があります。
ゆく川の流れは・・・
私は、海が好きだから、先日、友人と遠州灘「御前崎灯台」に行きました。
大きな波・小さな波が、限りなく続く風景は、昔と同じ。懐かしかったです。
灯台の右手に続く白浜・海外線の波を利用して、むかし、ボード・セーリングの世界大会の開催に協力したことがあります。丁度「スラローム」という煙草の売り出しを絡めて、地元の新聞社が誘致してきたイベントでした。有名な歌手の出演もあって、華やかな前夜祭をやりました。楽しかったです。
時はながれました。
イベントを開催したホテルは閉鎖されていました。観光客もまばらでした。
波頭の白さは変わらないけれど、同じ波は二度と寄せてこない・・・。昔日の喧騒が再び戻ってくることはないでしょう。まさに、鴨長明「方丈記」です。
「行く川のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。」
御前崎の白波も永遠に繰り返し、それを見る人だけが、交代していくのです。
受験アドバイス
「三密」と「3密」は違います。政府は、コロナ対策で「3密」を避けるようにアピールしていますが、この3密とは「密接」「密閉」「密集」ですね。
しかし、「三密」というのは、弘法大師が中国から学習してきた「密教」の言葉なのです。「身密(しんみつ)」「口密(くみつ)」「意密(いみつ)」です。仏と一体になる修行を意味しています。行動や身体を整え、言葉や発言を正しくしていけば、おのずから心や考えが整うという意味です。「3」と「三」で、これだけ異なります。
どこかの入試で、出題されるかもしれませんから、注意してください。
日本の彫刻の美しさ
宇治川に沿って、土手を少し入ると平等院があります。木陰のベンチに座ってみる風景は、まさに「極楽浄土」を模しているという表現にピッタリです。
この中に鎮座する阿弥陀如来像は、平安末期の「定朝」の作品です。
彫が薄く、繊細で、スマートです。中国の影響を受けた仏像から脱して、平安時代の洗練された純日本式(和式)の文化を象徴しているといいます。
ふっくらとした頬、引き締まった腰の括れは、現代のアスリートのようです。
この仏像の制作にかかわった仏師たちが、全国に散っていきましたから、寄木作りの「定朝様式」という日本独自の彫刻の形ができたのです。
受験アドバイス
運慶・快慶の作品は、古代ギリシャやロダンの彫刻に劣るものではありません。
仏像彫刻は「宗教性を省いて」みれば、ヨーロッパの「彫刻」の中に飾っても、見劣りしないどころか、勝っていると確信します。
以前から、ミロのヴィーナス像の横に、奈良の薬師寺の月光菩薩を並べてみたらどうかと考えていましたが、日本の伝統文化への誇りを大切にしましょう。
東・西のヴィーナス像。腰のくびれなど、女性の美しさの表現がそっくりです。
入試対策:日本の古典文化への理解を深める
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日本史を教科で履修していない人は、意外に「日本の文化史」に疎いという欠点を持っています。これからの「共通テスト」の出題は、政治・経済史より文化史に傾くと思いますから、図版・地図・データに留意してください。
いま私は「世界の中の日本」という観点から「東西絵画の比較文化」を整理していますが、デジタル端末機を利用して文字だけでなく、多様な観点から学習を深めましょう。日本人のidentityです。
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日本の代表的な仏像彫刻です。次の六つは日本を代表するものです。
どこにあるか。誰の作か。答えてください。ヒントを書いておきます。
( )の中にヒントから適切なものを選択し年代別に入れてください。
- 百済観音( )
- 弥勒菩薩( )
- 広隆寺 ( )
- 運慶 ( )
- 飛鳥大仏( )
- 阿修羅像( )
<ヒント>
- ① 興福寺
- ② 飛鳥寺
- ③ 無著・世親像
- ④ 中宮寺半跏思惟像
- ⑤ 弥勒菩薩半跏思惟像
- ⑥ 法隆寺
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