スケッチ:東南アジア諸国の歴史いろいろ(1)~シンガポール・マレーシア・タイ~
はじめに
今回は“東南アジアの国々”をスケッチしてみましょう。
この地域は、深入りすると混乱しますので「入試に関係すること」を中心にした、軽いスケッチです。
シンガポールは、超現代「都市国家」です
私は、40年以上頻繁にシンガポールに行ったり来たりしていますので、この国の変遷を見てきました。おおよそ10年毎にものすごい変化をしています。
私は、40年前の「中国人の屋台」で雑多に食べるのが好きでした。いまはスマートに整理されて「衛生的」ですが、大好きな「臭い」がありません。
指導者リー・クワン・ユー氏の時代の「ツバを吐き捨てると罰金だ」という風紀の取り締まりから始まって、現在は高層ビルが立ち並ぶ「超近代的な街」に変貌です。マーライオンの景観も変わりました。マレーシアから、切り捨てられた時代が嘘のようです。しかし、いまもマレーシアから「水」を購入しています。海水の淡水化に努力しています。
最近は「人材を集め、人材を育成すること」に熱心な国です。治安も安定していて住みやすいです。私の長男の家族も住んでいました。
受験アドバイス
シンガポール大学のプレゼンを聴いたことがありますが、THEの「世界ランキング」で上位だけあって、イギリス・アメリカの大学と提携して高度の学術研修も盛んです。南洋理工大学も素晴らしい大学です。
留学先に良いです。環境が良いのでお勧めです。
マレーシアのゴム園
クアラルンプールからシンガポールまで、汽車に乗って旅をしたことがあります。車窓から眺める田園風景は、全く「異国」です。途中で下車して「ゴム園」を案内してもらったことがありますが、土産物店によれば、スズでできたカップが展示されています。
ここは、華人とマレー人が開発した地域であることも実感します。インド系が「天然ゴム」と華人系が「スズの採掘」というよりも、イギリスの植民地として「プランテーション」で農産物を生産し、輸出する国であったこともわかります。インドシナ半島は、日本とは違う「熱帯」「亜熱帯の地域」であることを実感します。最近の日本のように「蒸し暑い」です。
受験アドバイス
マレーシアは、イギリス植民地時代からの「天然ゴムのプランテーション」・錫の採掘・天然ガスの掘削など、特定の農作物や鉱物の生産が盛んでした。が、マハティール・ビン・モハマド首相になってから「ワワサン(マレー語でvisionの意)」を掲げて経済改革を進めました。日本を手本にして、工業化と経済成長を達成したことで、シンガポールとともに『東南アジアの優等生』と呼ばれています。現在はITの研究・開発に優秀な人材が集まっています。が、現実は「貧富の差」が大きな課題です。
もう一度行きたい「タイ王国」
タイは親日的な国です。どこにいっても「日本人大好き!」といってくれます。日本から進出した企業も多く、観光地になっている寺院はきらびやかです。友人・知人もたくさん住んでいるので、政情が安定したら「タイ」に行きたいと思っていますが、なかなか条件が整いません。
歴史と伝統がある王国ですが、政情が複雑だから、入試には出題されにくいですね。だから、出題されるなら「画像・図版」の出題が多いです。
ミュージカル「王様と私」のモデルは、ラーマ5世です。この映画はタイ王室への不敬・人種差別が描かれていると批判されていますが、楽しい作品なので私は好きです。ラーマ5世は欧米を視察して、タイの立ち遅れを実感し「チャクリー改革」を実践しました。ベトナムはフランスに、ビルマ(ミャンマー)とマレーシアはイギリスに占領されていましたが、ラーマ5世の先進性で、タイの独立が辛うじて確保されました。
アユタヤの日本人町
「世界の中の日本」を考えるとしたら、タイのアユタヤ「日本人町」を抜きにすることができません。これは、昔の日本人の「傭兵」の街です。
16世紀~17世紀にかけて、東南アジアの各地に、日本人の居留地ができたのです。戦国時代が終わり、戦闘がなくなり、「働き場所」を失った浪人たちが、ここのアユタヤ王朝の「傭兵」として生活していたのです。
朱印船貿易の発展により、タイのアユタヤ南部の、治外法権まで認められる「日本人町」ができていたのです。日本の鎖国になってから消滅したのです。
日本人の代表的な傭兵は、山田長政です。現在は廃墟になっていますが、東南アジアのあちこちに日本人町ができ、最盛期は2000~3000人以上が住んでいたといわれます。鎖国しなければ、もっともっと発展していたことでしょう。
受験アドバイス
オリンピックで活躍したサッカーの選手の多くは、海外で活躍していますね。サッカー選手を傭兵といっては誤解を招きますが、海外のチームは、優秀な能力を持っている人材を高給で確保しようと一所懸命です。これは、どの分野でも言えることです。
学問の研究でも、同じことが言えます。最近、光触媒の発見者の藤嶋昭先生が上海理工大にスカウトされたというニュースがありましたね。君も、条件と環境の良いところを選択して、海外にいくこともあるでしょう。日本にも、海外から色々な分野で人材が来ていますね。これからは、混血の時代です。
アフガニスタンのカブールは、昔のサイゴン?
アフガニスタンが大変なことになっていますね。しばらくの間、眼を離すことができません。この国の入り口しか行ったことがありませんが、不安定です。
最近の国内の混乱をみると、私は「南ベトナム」の最後を思い出して、涙が止まりません。
ある時、私は雨が降りしきる「飛行場のベランダ」に立っていました。
「ここはサイゴン・‥ここはサイゴン・・・」と、耳の底で叫ぶものがあったのです。私の顔は、ただ涙に濡れました・・・。南ベトナムを脱出しようと、ヘリコプターにしがみついた人々の姿が焼き付いていたからです。
いまは、ホーチミン市と名前を変えた街の空港です。
現在のアフガニスタンのカブール市民が「いま、同じ状況だ」と思います。
危険水域です。強烈に焼き付いた「歴史の一場面」です。他人事でなく、君の人生でも、こうした事件が周辺にあるのです。
受験アドバイス
これから、アフガニスタンやミャンマーは、どうなるのでしょうか?
ITの発達は「兵器」でいえば、パク宙(手をつかず後ろに一回宙返り)もできる「最新型のロボット」や「ドローン」を使う戦争になるかもしれません。まさに半分人間・半分マシーンの“ロボコップ”です。GPSで管理された戦争は、もはやSFの世界ではありません。君は、こうしたことも意識して勉強しましょう。
入試対策:東南アジア諸国への親しみが基本
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入試対策としての「軽いスケッチ」は、新聞・雑誌から簡単に拾えます。「いま、何が起こっているか」に注意して、その奥に「どんな問題があるか」を考える習慣をつけましょう。あと数か月は、過剰に深入りしないでください。入試が済んだら関心があることに深く勉強してください。
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今回は「スケッチ(1)」として、私が見聞してきたことを中心にメモしました。フィリピン・インドネシア・ミャンマー・ベトナムなどを省きましたので、次回にまわします。が、インドネシアのアチェー石油・東チモールとオーストラリアの境にある「海底油田」など、日本の資源エネルギー問題と深く関わってきます。「脱炭素社会」と併せてチェックしておきましょう。
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中国の「一帯一路」政策と「インド・ASEAN問題」が、今後の政治・経済に深く関わってきますから、入試問題が無関係でいることはないでしょう。東南アジア地域の歴史について、関心を持つことが大切です。
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