鉄砲を撃つ・解剖学を知る~構えて撃つ・目的に命中させる~
はじめに
「共通テスト」が終わりました。
出願先を決めなくてはなりません。
そしていま、君は「大きな転換点」に立っています。
大きな風を前にして、たじろぐことなく「一歩前」に進みましょう。
今回は「転換点」について考えてみます。
日本に鉄砲が入ってから、攻撃の仕方・守り方が変わりました。
城のつくり方も、兵士の訓練の仕方も変わりました。
戦術から、戦略・戦法も変わりました。入試と同じです。
もはや、「過去」は通用しないのです。「変化」に順応するのがベストです。
的を絞って撃つ
「共通テスト」の結果が、国公立大の全ての基本データです。
大切なことは、どの大学・学部を目指して、どんな方法で的を射抜くかです。
言い換えれば、「的」はどこか。何を狙って撃つかです。
高得点が取れそうな過去の出題を探して、それを的にする。大学・学部・専攻の「レベル」と同時に出題の「相性」がありますね。
迷ったら、過去問を検討しましょう。
「共通テスト」で、高得点が取れた人はルンルン気分でしょうが、調子づいてはいけません。志望校に合格した気分でいたら、足元を掬われます。そんな受験生をたくさん見てきました。入試は甘くないのです。
失敗した人は、「失敗感」を引きずることは禁物です。気分の「切り替え」が大事です。泣いてはいけません。「次」があるのです。「そんなことはわかっている」という声が飛んできそうですが、どうしてどうして「落ちつき」を取り戻すには、意外と時間がかかるものです。
入試のライバルは横にいます。入試の本番は、大学ごとの「個別試験」です。
- 過去問を見て、出願先の出題のクセと、自分の「相性」をみること
- 逆転を狙う出願では、気合より「得意科目の得点率」を考えること
- コロナ・インフルエンザ・下痢に留意し、体調管理に最善を尽くすこと
世界の中の日本
「この景色は見たことがあるぞ!」という風景が、テレビから流れてきます。
私は随分、いろいろな国と地域を旅しましたので、最近は「懐かしい街かど」を、自宅で居ながらにして見ることができてラッキーです。
旅は誰かに案内されるより、「自分の足で歩いたところ」がいいですね。
人生みたいです。泣いても笑っても、自分の知識と体験が全てです。
いまは行けなくなりましたが、イランの古都イスファハンの旅が楽しかったです。全く「言葉が通じない」から困りましたが、ガイドブックを頼りにバスに乗ったり、歩いたり・・・。とても「いい度胸」でした。(笑)
いくつかの旅の中では迷子になって、トラックの荷台に乗せてもらったり、ヒッチハイクをしたり、襲われたり、危なかったですが面白かったですね。
「世界の中の日本」とか「日本の中の世界」と言いますが、自分自身で歩いて直接感じることが大切ですね。人生の面白さは「好奇心」です。
「共通テスト」では、世界史と日本史を兼ねた視点が重要であると言われます。新設される「歴史総合」は、ズバリこの課題解決のための教科です。
受験アドバイス
「食べ方」を比較すると、民族による違いがハッキリします。
例えば、私たちは「蕎麦」を「オトを立てて」美味しく食べる人を非難することはありません。しかし、同じヌードルでも、「スパゲッティー」を食べる時、オトを立てて食べたら「冷たい目線」が飛んできます。
私の経験にすぎませんが、顔を洗う場合、君は手を動かして洗いますか。それとも、水を手にとって、顔を動かして洗いますか。さりげない日常の仕草の中に「生活文化」があって、比較すると面白いです。比較文化です。
鳥の眼を持つ
目先の受験に対応しながら、もうひとつは「鳥の眼」を持ち続けることです。
つまり、世界中の課題も日本が抱えている悩みも、「俯瞰」してみる眼です。
いま、私たちの日常はコロナ禍の下で、授業がリモートになったり、distanceが要求される人間関係になったり、脱炭素社会への移行が急がれたりして、生活の根本に変革が要求されています。だから余計に「鳥の眼」が大切なのです。最低、10年後を考え進路を大局から考えるということです。
日本の歴史を振り返ってみると、近代でも「大きな転換点」が何度もありました。今回は、その中で次の二点に注目してみます。
受験アドバイス
入試でも、真面目に「第1問から解く」ことに集中しないで、出題された問題をトータルで見て、着実に「得点できる問題」から解いていくという方法がありますね。これも「鳥の眼」のひとつです。入試は「得点率」の競い合いですからね。私の人生を振り返ってみると、「分析能力より総合能力」の方が重要な場面が多かったですね。左脳(デジタル)より右脳(アナログ)です。
ひとつ目は「鉄砲の伝来」です
鉄砲の伝来で何が変わったのでしょうか。種子島にポルトガル人が持ってきた鉄砲(1543年)は、日本に大きな影響を残しました。
例えば、築城です。弓矢や槍を武器としていたころの城は「山城」が中心でした。が、今度は深い堀や厚い塀をつくる「平城」が中心になりました。戦場の手足にすぎなかった「足軽」が鉄砲隊として組織され、戦法が「個人から集団」に代わりました。私たちが見ている城は平地につくられた「平山城」です。築城方法だけでなく、戦術・武器・武具に大きな影響を及ぼしたのです。
織田信長が「長篠の戦」(1575年)で、武田勝頼を破ったことが有名ですね。
優れた騎馬軍団を持つ武田軍に対して、集団戦法の足軽たちが「鉄砲の威力」を集中的に、もっとも効果的に使用したからです。
鉄砲が伝来してから20~30年の間に、堺や「近江の国友鍛冶」が生産した鉄砲は、膨大な数だったと思われます。しかし、日本には鉄砲に必要な「黒色火薬」が不足していたので、輸入に頼らざるを得なかった点が問題でした。天然硝石がなければ、鉄砲の実力を発揮できないからです。
受験アドバイス
ヨーロッパのルネッサンス期の三大発明は「火薬」「羅針盤」「活版印刷」だといわれていますね。いずれも中国(宋代)の起源のものですが、これに「製紙法」を加えて、四大発明という人がいます。15~16世紀以降のヨーロッパの社会生活に大きな影響を及ぼしました。現代の四大発明は何でしょうか。考えて見てください。
私は、日常生活に関わる変革性を基軸に考えて「スマホ」「ips細胞」「SNS」をあげたいと思います。個人の生き方・先端医療・人間関係の構築の仕方から考えたのです。「CPU」「ゲノム編集」「衛星」もあるし、20~21世紀の技術開発が凄いですものね。コロナ対策で何が加わるでしょうか?
ふたつ目は「解剖学」の影響です
「えつ!!!私の頭はこんなになっているの?」
ふたつの眼玉がギラギラあって、脳内の様子がパソコンに写っているのです。
先日、医師の友人の勧めでMRIの検診を受けました。
ビックリしましたね。自分の肉体が異常であるとは思いませんでしたが、「驚き」の方が先行したのです。考えて見れば「当たり前」の話ですが・・・
医学部の志望者以外は、普段「自分の肉体」について客観的に意識することが少ないですね。私も、画面をCDに焼いてもらって、自宅のパソコンでもう一度見たのですが、これが革命的に人間観を変えてしまいました。
長崎・出島経由で入ってきた西洋医学が、漢方しか知らない日本の医学に新しい刺激を与えたことに似ています。新鮮で強烈な刺激です。
『解体新書』は杉田玄白と前野良沢という天才が「オランダ語の辞書がない時代」に、三年もの歳月をかけて、ドイツの『ターヘル・アナトミア』(ヨハン・アダムス・クルムス著 1732年)という解剖学書の『オランダ語訳』(へラルズス・ディテン 1734年)を入手して、これを日本語で刊行(1774年)したのだそうです。このいきさつを、杉田玄白が『蘭学事始』(1815年)に記していますから読んでください。表面には出ていませんが、玄白や良沢らを支援した人々・翻訳を手伝った人がいたことも忘れてはならないことです。
「時代の風」に対応する人が、日本に沢山いたことを誇りに思います。科学・学問の進歩はこうした地道な努力の賜ですね。
受験アドバイス
前野良沢と同郷の福沢諭吉は、偶然に知った『解体新書』に感激し、復元して出版したそうです。この慧眼が素晴らしいです。
・・・玄白と良沢は、刑場で「腑分け」が公開されると聞いて駆けつけ、『ターヘル・アナトミア』の解剖図が間違いでないことを発見したといいます。これが、どんなに我が国の西洋医学の発展に影響したことか。
医者をしている親戚の人が「実際に人体を解剖してみると、如何に臓器に無駄がなく美しいか!」と言います。こういう人が医学者に向いていますね。
波は外からやってくる
「変化の波」は外からやってきます。私たちには、波にいかに対応するかが求められているのです。「共通テスト」の波も、私たちが自分から求めたものではありません。「鉄砲」も「医学」の変化もすべて外からの波です。
最近、印象的だったのは「ガラケー」と「スマホ」です。
日本のガラパゴス化が問題になりましたが、日本が独自に開発し進化させたガラケーが、世界的な規模で開発されたスマホに負けましたね。
君の世代は.研究も開発も世界規模で思考することが要求されていますね。
「新種のコロナ(オミクロン株)の流行」ということで、世界中が緊張しています。「変異株」はこれからも継続して、私たちを襲ってくると思います。
感染医の教え子に「大変だね」といったら「これが私の選んだ道です。やりがいがあって楽しいです」という返事でした。腹が据わらなければ、コロナに対処できないことを教えられました。
受験アドバイス
大谷翔平選手は、あれだけ「いやらしい判定」「申告敬遠」を受けたのに、素晴らしい成績を残しましたね。沢山の表彰の陰で隠れていますが、私は「この数字」にすごさを感じます。的を撃って打つにしても、撃たせてくれないのですから、ひどいものです。君は、バッターボックスに立つことができるのです。チャンスは自分にあるのです。どのような状況に陥っても、強い意志と努力で切り抜けて行ってください。
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