未知との遭遇:期待と不安~「異変種」を繰り返して進化したホモ・サピエンス~

はじめに

「これ、なんだ・・・?」

・・・という「驚き」があって、発見があり、進歩がありますね。

「喜び」とは、知らないことを知る事であり、次を求めることですね。

私たちは、いろいろなことを知っていて、何でもできると錯覚しがちですが、実はあまりにも「知らないこと」が多いのです。

天空を見ても、顕微鏡を覗いても、知らないことばかりですね。

天空に浮かぶオーロラ

コロナについても、まだ何もわかっていませんね。

次々と「変異種」があらわれて、研究と開発の余地が沢山あります。

まだ「ワクチン対策」の糸口さえ見えないのですから・・・。

今年の大学入試で、コロナ対策が出題されていますね。

私は、人間が一番の「変異種」を繰り返してきた存在じゃないかと思います。

それを「進化」と呼んで、居座ってきたに過ぎない。世界中の「ホモ・サピエンス」は、変異種の展覧会みたいなものじゃないかと思います。

受験アドバイス

わからないことのひとつは「人類の先祖がどこから来たのか」ということです。

今もって「神様が人間を造られた」ということを学校で教えているところがある反面、ジャワ原人・ホモデニソワ人・ネアンデルタール人など、世界各地の「ホモ・サピエンス」の根っこを「進化論」に基づいて研究する科学者も多いですね。

およそ250万年前に現生人類に似た生物が誕生したと言われますから「アフリカ起源説」「多地域進化説」はともあれ、ジャワ原人・北京原人らと「現生人類」とのつながりに関心を持っています。いずれにしても、ホモ・サピエンスという「種」が生まれ、それが気候・風土に適応しながら「変異」を繰り返していたのでしょう。

コロナと同じように、ホモ・サピエンスの「変異の繰り返し」が、現在の私たちを生み出したと思います。人類のミトコンドリアDNAを解析して、拡がりを調べても不透明なことばかりです。ホモ・エレクトス、ホモ・ハビリス・・・。

「コロナの変異種」の拡がりに似ていますね。

誰がどんな技術で「有史以前の城や都市」を造ったか

どうしてもわからないことがあります。有史以前に、誰が高度の城や都市の設計をしたか。どんな方法で建築したのか。技術が蓄積されていたのか等です。

むかし、エジプトで「日干し煉瓦」を製作しているところを見学しました。「焼きレンガ」の工場も見学しました。しかし、これを組み立て、城壁をつくり、そして例えば、モヘンジョダロのような「下水道完備の都市」をつくる技術を、「ホモ・サピエンス」はいつから、どのようにして獲得してきたのか。

モヘンジェダロの下水道施設
モヘンジェダロの下水道施設 【画像の引用元

打製や磨製石器の旧・中・新石器時代の技術では、大規模に計画された都市や機器をつくることができません。何千年・何万年もの歳月をかけて技術を開発させてきたのでしょう。「宇宙人説」が出るわけです。

世界中に散らばる遺跡・遺物から見ましたが、それぞれがバラバラで「技術の連携」が行われたとは思えません。「先史考古学」「古代学」という分野です。

受験アドバイス

「1万2千年前のトルコ・アナトリア巨石遺構の調査」に千葉工業大学・東京大学の研究者チームが参加するという記事(2021/11/24・朝日)がありました。統括するのは松井孝典氏。宇宙の専門家です。調査する遺構には「石柱に囲まれた神殿跡」とみられるものがあるそうです。「遺構になる前」に巨大な建築物が造られ、人々の日常生活があったはずです。

トルコ・アナトリア高原

ずっとずっと遠くまで、平原が広がっています・・・。

その向こう、見えるか見えないかの境目に、城壁なようなものがみえます。2時間歩いても平原の半分もいかないだろう・・・・

ヒッタイトの平原
ヒッタイトの平原 【画像の引用元

その中に、巨大な「ヒッタイト」の城があって、前3500年に繁栄した大王国があったのです。

楔形文字
楔形文字 【画像の引用元

その繁栄ぶりを、彼らが残した「楔形文字」で知ることができます。

遺跡に吹く風の中に「鉄」で武装した軍隊のけたたましい轍の音が聴こえてくるようです。城壁の入り口に「ライオン門」があります。

ヒッタイトのライオン門
ヒッタイトのライオン門 【画像の引用元

ライオン門を抜けて、小高い場所に立って周囲を見渡すと、あちらこちらに各国の発掘隊の姿があって、私たちが知らない世界を探しているようでした。

受験アドバイス

ヒッタイトの首都・ボアズキョイで図書館が発見(ボアズキョイ文書)されました。ビックリしたことに、ここに残っていた楔形文字の中に、ムワタリ王と、はるか遠方の「エジプト新王朝」のラムセス2世との間の「国際平和条約」が出てきたのです。

エジプト・ルクソールの神殿にヒエログリフで記載されている内容と一致するのです。これを「ガデシュの戦い」(紀元前1286年)というのですが、お互いに、大遠征をして大規模に戦ったのです。私は、ガデシュまで車を走らせましたが、荒涼とした地域に、約3,000年前の面影はありませんでした。

メソポタミアのジグラッドは誰が造ったか

むかし私は、ティグリス・ユーフラテス川の河口に立ったことがあります。

湾岸戦争が始まってしまい、政治的混乱のために、ウルク・ウル・ラガシュなど「シュメールの遺跡」を確認することが出来ませんでした。残念です。

教科書では、メソポタミアのアッカド王国のことなどは、紀元前2300年ころのサルゴン1世を通して、ちょっとだけ学習するだけですね。しかし、ここには気が遠くなるような時間が流れ、人々の暮らしと歴史があったのです。

ウルのジグラード復元イメージ
ウルのジグラード復元イメージ 【画像の引用元
ベルリンにあるメソポタミア・イシュタル門
ベルリンにあるメソポタミア・イシュタル門 【画像の引用元

ドイツ・ベルリンの博物館に行くと、復元されたメソポタミアの遺物をたくさん観ることができます。そのスケールの大きさに圧倒されますよ。

メソポタミアに関連した地域の位置関係
メソポタミアに関連した地域の位置関係 【画像の引用元

むかしメソポタミアの地域で、どんな人たちが、何を考えながら生活していたのでしょうか。

三平方の定理は、バビロニアで使われていた

多分、神殿の建設には、高度に発達した数学的知識があったのでしょう。

バビロニア人は「三平方の定理」を理解していたようです。そればかりか「√2の正確な値」や「二次方程式の解法」も知っていたともいわれます。

私は、エジプトの測量術から「ピタゴラスの定理の原点」があったと思い込んでいましたが、それより約1,000年前にこれを理解し、建築設計に使っていたなんて想像を絶しますね。

粘土板に刻まれた定理
粘土板に刻まれた定理 【画像の引用元
ピタゴラスの定理
ピタゴラスの定理

専門家でない私には細かなことは理解できませんが、私たちが知っている世界は微々たるものだと痛感します。数学・考古学・建築学ですね。

受験アドバイス

「ギルガメシュ叙事詩」は、バビロニア=アッシリア文学のなかで最も重要な作品のひとつです。これは、古代メソポタミアの英雄ギルガメシュのいくつかの物語を集大成したものです。アッカド語で記された文献は、ニネベのアッシュールバニパルの図書館跡で出土した12枚の書板が主なものです。欠損している部分は、メソポタミア各地・アナトリアで発見された楔型文字で書かれた断片をつなぎ合わせたものです。

楔形文字で書かれたギルガメシュ叙事詩
楔形文字で書かれたギルガメシュ叙事詩 【画像の引用元

この原型というべきものが、前2000年紀前半に「シュメール」で書き残されています。歴史上のギルガメシュは、前3000年紀前半にウルクを支配した実在の人物だそうです。

主題は、親友のエンキドゥが、女神イシュタルの怒りに触れ、病気で苦しんだ末に没したことから、「ギルガメシュが不死を求めて放浪する物語」です。この中の体験のひとつに旧約聖書にある「ノアの方舟」に似た洪水が書かれています。

世界中には、解明できないものが沢山ある

「なんと、まあ!」とんでもない遺物が地中から出てきたのです。

1929年の春に、成都の近くに住む農民が溝を掘っていたときに「玉器」が出てきたのです。調査してみると、遺物が続々と出てきたのです。現在は「古蜀王国」といわれますが、四川省・山間地に長江の上流の、前3000年以前の「高度の青銅器文化」の遺跡だったのです。「三星堆遺跡」です。不思議な仮面と文物は、殷・周を中心とした黄河文明とは異なるものです。青銅器の文明の交流があったかどうかわかりません。

この高度な文明をもった民族は、どこから来て、どこに消えてしまったのか、今もって不明です。大量の遺物の裏に「生産力と高い文明」があったと考えるとイメージが膨らみますね。

受験アドバイス

中国では、黄河文明が主に紹介されてきましたが、これと異なる文明が長江(揚子江)の下流に発達していたのです。「河姆渡遺跡」です。ここで発達した稲作が日本に入ってきたと考えることができます。

稲作の伝播
稲作の伝播 【画像の引用元

モヘンジョダロ・ハラッパーの遺跡も解明できない

もの凄く暑かったです。真夏にモヘジョダロの遺跡に立ったからです。

インダス川流域に、紀元前2000~3000年くらいに高度に発達した都市国家があったというので、少々無理して行ってみたのです。実際はイメージしていたより、はるかに規模が大きくて圧倒されました。有名な沐浴場くらいは知っていましたが、下水道の施設まで完備していたとは思いませんでした。インダス川に沿って、大都市をつくる技術も文化も人材もあったのです。

モヘンジョダロ
モヘンジョダロ 【画像の引用元
ハラッパー
ハラッパー 【画像の引用元

受験アドバイス

むかし、大好きだったマンガに「海のトリトン」(手塚治虫作)があります。

これはアトランティス大陸に関係する話を発展させたものです。直接関係はありませんが、この大陸についてはギリシャの哲学者プラトンが『ティマイオス』『クリティアス』で触れていますね。その他、太平洋上の伝説の「ムー大陸」「レムリア大陸」など、実証できないけれど魅力的な大陸の話がありますね。有史以前に、ロマンを感じるからだと思います。

謎が多い大ピラミッド

「せっかくだから・・・」と思って、ラクダの背中に揺られてギザのピラミッドまで行きました。クフ王のものは紀元前3000年前のものだといわれますからもの凄い王国だったのですね。「ビラミッドの謎」にはいろいろな説があって「定説」がないようです。

クフ王のピラミッド

2017年。名古屋大学が中心の研究チームが、原子核乾板を用いた宇宙線(ミューオン)による透視技術でピラミッド内部を調査したという報道がありました。その結果、ピラミッドの中に「未知の空間」が発見されたというのです。

3D計測によるピラミッドの構造解明
3D計測によるピラミッドの構造解明 【画像の引用元

受験アドバイス

JICAとエジプト政府が協力して「大エジプト博物館」が建設されています。

コロナの影響で開館が遅れていますが、ギザの三大ピラミッドの近くにできる歴史的な建造物です。「ツタンカーメンの遺物」があるカイロの博物館は古くて狭いので、文化財の保存・修復・人材育成の大きな拠点をつくっているのです。

(安達昌二:お茶ゼミ√+特別顧問)

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