スポーツによる経済効果~スポーツビジネスの面白さ・活性化する経済活動~
はじめに
サッカーのカタールW杯はおもしろかったですね。
日本は、強豪のドイツ・スペインと同じゾーンに入り、とても勝ち抜くことはできないと思っていたのに、1位通過をして「ベスト16」に入りました。
日本の選手たちの素晴らしい活躍に、胸躍る毎日でした。
世界の素晴らしい選手たちの競合で、私はすっかり寝不足になりました。
視点を変えてみると、課題の多いイベントでもありました。
スポーツビジネスは、企画・運営・宣伝・報酬・・・と広範囲にわたります。渉外・宣伝だけでなく、通訳の仕事も、弁護士、医療の仕事もあります。
君が将来、どんな形でスポーツビジネスに関わるか予想できませんが、とても魅力的な仕事の世界・市場です。
受験アドバイス
カタールW杯に参加したチームに多額な分配金が入ります。FIFAは巨額な賞金を準備していたそうです。各国の予選を含めると、4年間のサイクルで累積総額は膨大な額になるイベントです。「テレビ放映権」契約が中心ですが、今回も成績に沿って選手が所属するクラブや選手に「報奨金」、貢献度により「ボーナス」が支払われるそうです。今回の「賞金」は、優勝したアルゼンチンは59憶円、準優勝のフランスは42億円、3位のクロアチアは37億円、4位のモロッコは35億円、日本はベスト16まで行きましたから18億1200万円だと報じられています。グループステージで敗退しても1,050万ドル(約14憶1510万円)がもらえるそうです。
多様な利権が重複するビッグビジネスの世界です。私には、膨大過ぎて正確な積算が出来ないので、情報はマスコミに拠ります。
スポーツ選手は「商品」である
カタールW杯の高度のplayをみていると、必死にボールを追いかける選手を「商品」とみることは「冒涜」のような気がします。しかし、選手にとっても「私を買ってください」という貴重なプレゼンの機会です。空調が効いたスタジアムは高度の経済活動の成果ですし、サッカーボール・ユニホーム・スパイクもすべて、製造から販売までスポーツビジネスとして躍動しています。
それにしても、アルゼンチンのメッシ選手・フランスのエムバぺ選手のplayは凄かったですね。クロアチアのモドリッチ選手は「生きざまそのものがplay」でした。選手は、高度なテクニックを超えるレベルで戦っていましたね。
第一生命経済研究所は、W杯カタール大会での日本の躍進を受けた「国内の経済効果は163億円になる」と試算しています。経済効果の内訳は「ユニホームの売り上げ」「放映する有料メディア」の加入料などを含む『サッカー関連』が111億円。「スポーツバー」や「食事宅配サービス」などの『飲食関連』が52億円などだそうです。W杯への出場は、スポーツビジネスにとって必須です。
文科省は「スポーツ振興基本計画」を立て、スポーツ市場を拡大し、その収益をスポーツ環境の改善に還元し、スポーツ参画人口の拡大につなげ、産業化・地域活性化を実現しようといっています。スタジアム・アリーナなどを造ることなどはその一環だそうです。経済効果は身近なところにあります。
受験アドバイス
スポーツイベントが巨大化し、商業的な要素が増えれば増えるほど、「広告代理店」の影響が強くなり「巨額なカネ」が動きます。代理店は、スポンサー企業を募り、タレントを集め、マスコミを使い、グッズを製造させ、サポーターの旅費・交通費の計算をしたりするのです。東京オリンピックで電通が果たした「汚職の根っこ」は、こんな巨大なシステムの中にあります。スポンサー企業にとって、W杯は自社を「世界的にアピールする場」として効果絶大です。その分だけ広告代理店の力が強いですね。W杯を酷暑のカタールで開催するために、欧米のスケジュールにずらしたり、巨大な開催費(30~40兆ドル以上)をかけたりしましたね。「灼熱の砂漠」にゼロからインフラを整えるために「肉体労働者を酷使する」など、スキャンダルが多いですね。カタールの「オイルマネー」が背景にあります。国家戦略です。開催に伴う無理が「人権問題」をはじめ「民主主義」「法の正義に反する」という非難を引き起こしていますね。EU議会は、副議長を「汚職の当事者として解任」しましたね。
大谷選手も「商品」である
「大谷選手も商品だ」といわれたら、若い君はビックリするでしょうね。経済の観点でいえば、商品がボールを投げたり、打ったりしているのです。
スポーツの試合は「利益に直結するイベント」です。大谷選手も同じです。
「選手は動く広告塔」です。これを「市場価値」といいます。大谷選手のグッズが売れたり、日・米で試合が放映されたりして、スポンサー企業は巨額な利益を得ています。テレビの視聴率は、重要な評価基準です。
私は、大リーグで活躍する大谷翔平選手が大好きです。しかし国際化したマーケットでは「大谷選手は膨大な利益を生み出す商品」です。アメリカのファイザー誌は、2023年の大谷選手の契約金は3,000万ドル(43億円以上)、スポンサー契約などを合わせると5,000万ドル(73億円以上)と試算しています。彼を中心に5~8倍以上の経済効果があるといわれます。すごいですね!
私たちは、単純に大谷ファンであるだけなのですが、それは一面なのです。
他の競技も同じです。日本を代表する国際的なスポーツ選手は、テニスの大阪なおみ選手・ゴルフの松山英樹選手です。
受験アドバイス
カタールから帰国した友人は、ものすごく暑かったけれど、サポーターはもっと熱かったといっています。スポーツイベントには、次のような領域があります。
①競技場でスポーツをする人 ②観戦を楽しむ人 ③企画し広告・宣伝・運営する人 ④利益をえようとする人 ⑤国家掲揚を計ろうとする人です。だから、どのイベントでも内部に多くの課題を抱えています。最大のものは④・⑤に關係するものです。私は観戦を楽しむ人ですから、試合がある日は、24時・28時に起きました。(笑)
スポーツを市場とする商売の範囲
「羽生結弦選手のアイスショー」のチケットを取得するのに、孫娘が大騒ぎしていました。もの凄い人気なのですね。
私は、野球・サッカーの試合を観戦しますが、人気のあるプロスポーツのチケットの入手は大変です。スポーツビジネスをどの範囲で考えるかによりますが、最近では藤井翔太さんの「将棋」までスポーツだという雑誌があります。スケボー・スキーなどスポンサーの「商標」をハッキリと掲示しているものもあります。市場規模は拡大する一方です。
ビジネスの領域は、①「施設運営」 ②「スポーツ教育」 ③「流通小売の売り上げ」 ④「放送・エンタメ」 ⑤「スポーツ興行収入」 ⑥「公営ギャンブル」に大別されるそうです。オリンピック・カタールW杯のような大きなものから、甲子園野球・箱根マラソンなど大小いろいろあります。今後、「領域を横断」して開催されるイベントは多様でしょう。
政府は2016年に「日本復興戦略」を立て、2025年までに約15兆円の経済まで成長させるという方針を発表しています。
受験アドバイス
スポーツのルール改正で、選手たちは頻繁に苦しめられます。スポーツの世界では「常にルールの改正に敏感に対応」しなければなりません。今回のW杯直前(6月)に、ゴールキーパーの守備の仕方について改正がありました。国際サッカー評議会(IFAB)が、2022-2023シーズンに向けてPKのルールの一部変更をしました。PKの際、GKはキックの瞬間の動・静が変更されたのです。詳しくは専門家に任せるとして、この結果「PK戦でゴールキーパーの動きが目立った大会」でした。カタールW杯の大陸間プレーオフで、PK戦でオーストラリア代表GKが相手キッカーが蹴るまで手足を動かし続け、「踊るGK」として注目を集めましたね。カタールW杯でも、キーパーがよく動きました。ルールの改訂は、選手の動きに影響するのです。
大谷選手の二刀流と新しい経済活動
「大谷君をみると自然にニコニコしてしまう」「大谷君の活躍は、日本中を元気にしている」という声が多いです。経済活動を単純化して言えば「優秀な商品」を市場に出して「効率よく営業」し「販売利益を得る」ことですから、大谷選手の二刀流は「優秀な商品」です。資本(=契約)をかけて、良い商品(=活躍)であることが素晴らしいのですね。大谷選手の「商品価値」です。こうした質・量の「需要」と「供給」に基づく「市場原理」が経済・社会を動かしているのです。
受験アドバイス
スポーツによる経済効果は、今後計り知れなく発展すると思います。
W杯にみられるように、これまでスポーツそのものが単独に発展するだけでなく、他の競技と連動して新しいスポーツの開発も可能になります。「レジャー」「健康」「IT」「学習」と重なりあって幅広く発展するでしょう。
私が関心を持っているのは「スポーツ教育」と「スポーツ興行」の充実です。「エリートスポーツ」「コミュニティスポーツ」の振興が社会の活性化に役立ち、多くの人の健康を促進すると思います。しかし、もう少し「学力とスポーツ」の相乗効果について、科学的な研究・検証があってよいと思います。私の思いつきですが、例えばスポーツ競技で開発されているIT技術を「健康band・学力band」とリンクすれば「新しいsmart band」ができるでしょう。
スポーツ選手の「学力向上」も重要です。SNS・インターネットで「頭脳とセンス」を集め、ネットをつくり「学校の部活動」「大学や企業の研究者」「ITベンチャー」とリンクさせたら、「魅力的な市場」を創出できると思います。
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