旅にでよう:ナポリを見て死ね・・・~東欧の旅と教会建築の変遷が面白い~
はじめに
人生は旅だ!未知の旅にでよう!・・・まず、海外に目を向けよう!
君は「ナポリをみて死ね」という「ことわざ」を知っていますか?
イタリアの風光明媚の港町です。魚臭い市場がいいです。美味しいし・・・。
美声が響きます。「サンタルチア」「オー・ソレ・ミオ」「帰れ!ソレントへ」。
君も、たくさんのナポリ民謡を知っているでしょうね。明るくなります。
旅先は季節によって、全く異なる表情を見せてくれます。花々が美しい春の顔もいいですが、冬の景色もいいですね。人懐っこい笑顔も旅の味です。
ヨーロッパに行くなら、ギリシャ・ローマとキリスト教の歴史と伝統への「敬意」が欲しいですね。見学するのではなく、「させてもらう」のですから。
今回はウクライナ侵攻がありますから、東欧と教会建築を取り上げてみます。
受験アドバイス
君は、「東欧の旅」に関心を持っていますか?・・・知らないことが多いですね。
日本では、東欧について「紹介」されたことが少なかったからです。
東欧には、西欧と異なる世界が広がっています。中欧と同じく、異なる文化があるのです。ロシア・ウクライナ・ブルガリア・ルーマニア・チェコ・スロバキア・ポーランド・ハンガリー・・・東欧の教会建築は、社会主義体制の下で、長い間荒れているところが多かったです。共産主義は「宗教を否定していました」から、教会の内部は荒れていたのです。入試で、東欧がテーマになると予想します。
旅の面白さは「与えられるものではない」です
君は、アンデルセンの「人魚姫」の物語を知っていますね。この悲しい物語を知っていると、コペンハーゲンの海岸端にある「小さな人魚姫の像」が愛おしく見えてきます。物語を知らない人には、「何でもない像」にすぎません。
旅の愉しさ・面白さは、「与えられるもの」ではなく、自分の「内面から感じるもの」です。旅は想いや基礎知識が豊富であると、何倍も楽しくも、豊かにもなります。
受験アドバイス
今回のウクライナ侵攻の背景に、宗教的対立があります。「ロシア正教会」のキリルⅠ世が「ウクライナ正教会」の独自性・独立を認めないからです。彼はプーチンと共に働いた「KGBのエージェント」だったともいわれます。「ウクライナ侵攻を支持」して、民衆に対して大きな影響を与えているといわれます。入試では、「宗教の角度」から出題することが考えられます。ギリシャ正教からの流れをチェックしましょう。
キーウの教会建築はどうなったの?
キーウは、京都のような静かな美しい古都です。
ドニエプル川の「右側にある小高い丘」から見ることができる景色は、とてもロマンティックです。「派手な看板」がないので、緑の街中にウクライナ正教会の美しい姿を見ることができます。正教会は「1か国にひとつの教会組織」を置くことが原則になっています。社会主義の時代は弾圧されました。
戦争で「あの美しい建築物はどうなっちゃたんだろうか」と心配です。
受験アドバイス
むかし、ロシアや中国のような社会主義国には、「観光」という考え方はありませんでした。私が初めてロシアに行ったときも、街中から離れた「宿泊所」が指定されました。街中を自由に散策することはできません。パスポートはホテルに預けなければならなかったし、スナップ写真を撮ることが禁じられました。中国でフィルムを取り上げられたこともあります。旅人に「自由」がありません。いまでも、中国ではSNSによる情報交換が制限されていると聞きます。情報と行動制限です。
旅の愉しさは「好奇心」と「知識欲」です
旅を充実させることに必要なものは「好奇心」と「知識欲」です。人生では、このふたつの強さが問題です。希薄な人は、何をやっても感動しないでしょう。
「ピサの斜塔」はガリレオの実験で有名ですが、強い鋼鉄の綱で支えられていました。鐘楼ですが、鐘を鳴らすと傾斜に影響するので、現在はスピーカーで流されています。傾斜の原因は「地盤の土質の不均質」だそうです。
モン・サン=ミッシェルはもともと小島に建てられた修道院ですから、干潮の時に歩いて渡るのがベストですが、橋ができています。
カタコンベから教会建築へ
初期キリスト教は弾圧された期間が長かったので、信者は地下墓所(カタコンベ)で「祈りの集会場」を持ちました。教会の始まりです。やがてローマ皇帝に公認され、国教になってから政治的な意味もあって「聖堂」が造られましたが、重なる戦禍で初期建築はほぼなくなってしまいました。
フランスのラヴェンナにある聖堂は6世紀のものですが、ビザンツ時代のモザイクの壁画が残っています。
西欧の教会建築は、次第に独自性を発揮して行きます。カトリック教会が信者を増やし、信仰心を高めるために、教会建築に力を注いだからです。
受験アドバイス
大雑把に言って、<バシリカ式建築➡ビザンチン様式➡ロマネスク様式➡ルネッサンス様式➡ゴシック様式➡バロック様式➡ロココ様式>というように、建築技法の進歩もあって変化していきます。そして、現代の鉄・ガラス・コンクリートを使用したモダニズム建築➡ポストモダン建築という流れを、「宗教建築」「世俗建築」を問わず勉強すると楽しいです。将来、建築・土木方面に進学する人は、西洋建築史は必須ですね。
東欧の教会建築は世界遺産の宝庫
私はキリスト教会の建築といえば、西欧の「カトリック系のものが全て」であると思い込んでいました。実際は「全く異なる」のです。私の家の玄関に「イコン」が飾ってあります。旅の中で購入した「土産物」で「信仰の対象」ではありません。が、なんとなく「威厳」があります。旅の中で観た東方教会の装飾は見事でした。教会行事の作法も西欧とは異なることもわかりました。「ロシア正教会」「ウクライナ正教会」「ブルガリア正教会」「ルーマニア正教会」の建築物は内部装飾も多様で、比較すると楽しかったです。
大シスマの後、1000年も継続した東ローマ(ビザンチン)帝国の伝統・文化は、しっかり地域に根付いていたのです。ほとんどが世界遺産です。
東方教会には美しいドームがあるね!
私は「未知の世界が好き」です。だから、東欧・中欧の旅に出かけたのです。私は、いろいろなことに興味を持ちました。
1054年に東方教会(正教会)と西方教会(カトリック教会)に分裂(大シスマ)してから、東方と西方では「教会建築の形式」は同じではありません。
日本には、明治以来、西欧文化が大量に入りましたが、東欧文化の情報は少なかったです。だから、東方教会のことは知らないことが多いですね。
東欧諸国の旅は「情報が少なく」非常に不便でした。旅を楽しむためには、それなりの知識と準備が必要です。私の旅は混乱期でしたから、街中のトイレで暴漢に襲われたこともあります。怖かったです。どんなに興味・関心があっても、社会が安定しないところへの旅は危険が伴います。気をつけてください。
受験アドバイス
イスラム建築(モスク)は、明らかに正教会の影響を受けています。ふたつの教会の接点は、イスタンブールのある「聖ソフィア教会」をみればわかります。「アヤソフィア」とも呼ばれて馴染みが深いのです、実際にイスタンブールに行ってみれば実感します。これは元ギリシャ正教会の教会でしたが、イスラムになってからモスクに改造したのです。周辺に4本のミナレットを建て、モザイクの聖像の上にコーランの文字を乗せたのです。
だから、剥げてきた壁の奥から、ビザンチン建築の遺構が出てきています。
ロマネスクとゴシック建築を比較すると・・・
「すごい!!」と圧倒されるのは、中世ゴシック様式で造られた教会です。
「信仰心」と「建築技術」がひとつになって、100年~500年もかけて造られた教会がありますから、これを見て感動しない人は「不思議な人」です。(笑)
「石の文化」の荘厳さは、教会の内部に入っても圧倒され感動するでしょう。
「ロマネスク」様式は、アーチが丸く半円形ですが、建築的には丸いアーチだと「真ん中に重さが集まる」ので、崩れてしまう危険性があるといいます。
12世紀にはじまる「ゴシック」様式は、「尖頭アーチ」と「交差リブ・ヴォールト(天井の形式)」で天井の重みを左右に逃がし、「飛び梁」で壁が横に広がろうとするのを、横から抑えるのが特徴だそうです。これにより、ゴシック建築はロマネスク建築にはできなかった「高い建物」を造れるようになったといいます。「壁で建物を支える必要」がなくなったので、大きなステンドグラスを入れられるようになったのですね。これ以上は、君自身で調べてください。
信仰心を高めるための仕掛け
中世ヨーロッパの民衆は「光は神の化身だ」と信じていましたから、大きなステンドグラスから「差し込む光を信仰の対象」にしていたと考えるとわかり易いです。大きなステンドグラスの「光」とパイプオルガンの音は荘厳です。
旧約聖書の創世記に、「神は光あれ」といわれたと記されていますね。
多くの信者(民衆)は文字が読めなかったのですから、「天国に近づきたいという信仰心」が天井の高い教会を求めたことにも繋がりますね。
受験アドバイス
なぜ東方教会の屋根に「十字架のドーム」が冠されているのでしょうか。ドームは普通1~5基ありますが、その理由は何でしょうか。16世紀半ばから広がったという教会建築は、「正形」「ギリシャ十字形」の平面の上にあって「金地の華麗なモザイク」で飾られています。大理石を利用するなど、それぞれ個性的な魅力を持っています。
後日、理解したことは、一つの塔は「イエス・キリスト」に捧げられ、三つの塔は「三位一体」を象徴し、五つの塔は「イエスと福音書記述者」に捧げられたものだということです。教会の「黄金」はキリスト「青と星」は聖母に捧げられるとだと言うのです。・・・「旅をして死ね!」です。
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