<啐啄同時>伸びる生徒の条件~藤井七段・羽生選手・大谷選手に共通していること~
はじめに
伸びる生徒の条件をふたつ挙げるとしたら「好奇心」と「向上心」です。
どんなに資質に恵まれた生徒でも、このふたつがないために大志を実現しないまま消えていった人を私はたくさん見て来ました。
「夢がない」・「挑戦したいものがない」・「自分のことさえ関心が薄い」というのが、伸びない人が抱える共通した課題です。
受験アドバイス
全国の校歌を見ると「水をやる」「手をかける」「目をかける」というような歌詞が多いです。樹木と同様に、人間を育てる原則は共通しているのですね。
指導者に必要なものは「思いやり」「厳しさ」「状況を見る」ですが、そんなことは当たり前のことです。愛されて育った子は、他人を愛することを知っている。それがない環境で育った子どもは、殺伐とした人間関係しか築けない。
大人になっても変わらないのです。
世の中には「優秀な人」はたくさんいます。才能のある人もたくさんいます。
将棋の「奨励会」を見ればわかりますね。天才ばかりです。
異なるのは、異なる分野の「優秀な質」にすぎません。
小さく構えてはいけないですね。
他人の才能を妬むではなく、「前向きな刺激」として受け止めることが伸びる条件の一つです。
日本だけでなく、世界中を見渡せば、気が遠くなるほどの人材がいるのです。
受験アドバイス
将棋の藤井聡太七段は、いつでも笑顔を絶やさないし、失敗してもくよくよしないポジティブな性格ですね。これは素晴らしいことです。時々、「私はダメな人間だ」と言ってネガティブに考える人がいます。彼からは「やる気」が伝わってきません。藤井七段からは、静かな言葉の中に強さの香りがします。
なぜ 勝利者に「月桂冠」ですか?
君に現役「月桂冠」を被って欲しいです。是非!!!
目的を達成した「勝利者」には「月桂冠がよく似合う」からです。
アポロン(アポロ)はギリシャ神話のスターです。若く、魅力的な青年の理想像で描かれることが多いですね。
オリンポス12神の中で、格別カッコいいです。
けれども、アポロンは、河の神の娘ダプネに嫌われてしまいますね。
自信満々の神々のエースはたまらなかったでしょう。
ダプネは、アポロンに触れられることを拒否して父神に頼んで「月桂樹に変身」しましたね。
そこでアポロンは小枝を取って「冠」にした。
人生には、どんなにカッコよく、学問や芸術・芸能に秀でていても、思い通りにいかないことが沢山あります。
受験も同じです。「柔軟な思考力」と「謙虚な行動力」が伸びる条件のひとつです。
受験アドバイス
私は『力なき者たちの力』というヴァ―ツラフ・ハヴェルの著作を読んでいます。全体主義(共産社会)が絶対的な力を持っていた当時のチェコにあって、抑圧された「力なき個人」が、自らの力を自覚することが「社会を変革させる力だ」と述べています。厳しい状況下で、無血の<ブロード革命>を達成し、自身が大統領になった人の作品です。いわゆるエリートばかりが社会を動かすのではない。大学入試では、「東欧革命の流れ」が出題されるでしょう。ゴルバチョフに始まるソ連のペレストロイカ、ポーランド・ハンガリー・チェコスロバキア・ルーマニアについて学習しましょう。魅力的な地域の現代史と文化の学習です。
東京オリンピックが延期になりましたね
オリンピックは「平和の祭典」です。
古代ギリシャでは、普段は競い合っていた都市国家(ポリス)が、大神ゼウス(ジュピター)を祝うために戦いを中止して開催しました。
古代オリンピックでは、兵士たちの体力・技・精神力を競い合ったのですね。
いま、聖火は日本にありますね。「希望の火」です。
プロメテウスは、神々が独占していた「火」を人間に与えました。
「火」は人間に技術・文明をもたらしましたが、ゼウスが予言した通り、人間は火を使って「武器」を作り「戦争」を始めましたね。
いま、世界の覇権国家が競い合っています。
自然はコロナウイルスを使って「人類に警告」を与えていると考えることができます。
オリンピックが「平和の祭典」である意義を、この際、世界中の人々が考えることを要求しているのだと思います。
東京オリンピック開催に「猶予時間が1年与えられた」と考えると良いです。
受験アドバイス
原子力など、人間の力では制御できない科学技術のことを「プロメテウスの火」とよぶことがあります。フランクMロビンスン・朝永振一郎が同名の本を書いています。「震災」を起点とする東京オリンピックを開催するに適合したテーマですね。入試では、科学技術の「発展と危険性」が出題されますね。
負けず嫌いは、羽生選手の強力な武器である
フィギアスケートの羽生選手は大変な負けず嫌いです。
「絶対に負けたくない」。
これが羽生選手を伸ばす力だと思います。
では、一流選手としての彼の特徴を五つ挙げてみましょう。
- 「絶対にあきらめない」ですね。大きな怪我を繰り返しながら、目標としたことに向かって、ひたすら努力する。ダメだと逃げないですね。
- 「自分の競技スタイルを変えない」ですね。自分はこのようなPLAYをしたいという信念を持って演技していますね。手抜きや妥協をしない。
- 「仲間を大切」にしていますね。先輩には礼儀正しく、同輩・後輩には優しいですね。彼は、ライバルに対して競争心を燃やしても嫉妬しないですね。
- 「勝ちたいとハッキリ意志表示する」ことですね。勝てない試合なら出たくないといいますね。意思表示は、決意を表明することです。
- 「美しさにこだわる」ですね。表面的なテクニックで善しとしないですね。得点にこだわるけれど、その上の「美」にこだわるのですね。ここが素晴らしい。
受験アドバイス
古代ギリシャの哲学者プラトンは「私たちは美のイデアを分有している」と言います。だから、本来、私たち自身が持っている「美を表現すること」が大切であるといいます。これを「イデア論」と言いますが、君が先天的に持っている能力を十分に発揮することが重要だということです。羽生選手が「求めて実現しよう」とするものと、君の伸びる条件は同じです。受験を「美のイデア」の実現と捉えて頑張りましょう。目的を達成した「笑顔は美しい」です。
二刀流に邁進する大谷選手の魅力
大谷選手は、これからも大活躍すると思います。彼は「伸びる条件を十分に持っている」からです。
彼の選手としての魅力を五点あげてみましょう。
- 聞く耳を持っている…彼は指導者の助言を素直に聞いて「ひとりよがり」にならない。フォームの修正力が高く、感情的にならないと聞きますね。
- 自分の限界を決めない…二刀流について、色々なことを言われても、可能性を信じてのびのびとやっている。チャレンジ精神が旺盛ですね。
- 誰からも愛されている…応援する人、支援してやろうという人が沢山います。人種・宗教・民俗・慣習の難しい壁を楽しそうに乗り越えていますね。
- 基礎をしっかり叩きこまれている…大谷選手のマンダラシートを「第18回」で紹介しましたが、野球に対する心構え・姿勢・技術ができています。
- 環境に素早く適応する力を持っている…異文化・異人種の中で暮らしていても不自由しない。好き嫌いが少なく、しっかり寝ることができるそうですね。
受験アドバイス
「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉があります。 これは「学ぼうとする生徒」と「教えようとする指導者」の息があって、相通じることを言います。「雛が卵から出ようと鳴く声」と「母鳥が外から殻をつつく」のが同時であるという意味です。タイミングが合うということです。
- 「あるレベルまでは、自分自身の力でのし上がってこなければならない」
- 「最適な指導者は“志望校の特色”に精通している」
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