「考える葦」と「緊急事態」を乗り越える知恵
はじめに
現在は、国家的な「異常事態」ですね。「緊急事態宣言」も延長です。
これを乗り越えるにはどうしたらよいでしょうか。
君も私も、必死で、考えて、知恵を探し、磨き、行動しなくてはなりません。
まず、足元の「学力」について考えましょう。
大学入試がどうなるか不安がありますが、君は、「入試の向こう側」を見て「ゆるぎない学習」を継続させ発展させてください。
やがて、落ち着く時が来ます。その時、活躍する人材であるための努力です。
秋入学も、学力格差も議論されていますが、こちらは国家的な問題です。
受験生が心配してもどうにもなりませんから「今日やるべきこと」を確実にこなしていくことにしましょう。
「時代の転換期に必要とされる能力」、「平和な時に要求される能力」と、「激変を乗り越えるための能力」は異なります。
君に期待されているものは「混乱を乗り越えていく能力」です。
日本の歴史を振り返ると、大雑把に言って、平安時代の末期の平清盛、戦国末期の織田信長が持っていた能力でしょう。
「新・旧の対立を乗り越える力」の持ち主でしたね。
しかし、これが社会を安定させる力になりませんでした。
「新しい社会を創造する力」を持っていたのは、源頼朝や徳川家康でしたね。
中国史でいえば、「秦の始皇帝」の切れ味が時代を開きましたが、社会基盤を安定させたのは「漢の劉邦」でした。
ローマ史でいえば、「カイサル」は暗殺され、「オクタウィアヌス」が新しい帝政をつくりました。
あまりにも大雑把ですが「時代を創造する力」と「時代を安定させる力」の違いです。
君の雑学知識でイメージして理解してください。
新型コロナウイルスで混乱した社会をまとめる力が、どこにあるか見えませんが、「君が活躍する時代」に必要とされる能力は、“創造力”とか“判断力”とか“実行力”といわれる力です。
「生きる力」です。
君が活躍できる分野を意識して「いまの勉強を進めて」ください。
迷っても仕方ありません。
受験アドバイス
激変を乗り越えるもう一つの力は「経済力」です。平清盛には、父親の忠盛が築き上げた豊かな経済力が背景にありました。織田信長は「楽市楽座」の創設や、堺など「物流の交流」の拠点を押さえました。始皇帝は「渭水盆地」の開拓で財を成していたし、カイサルはガリア地方を征服し、巨大な経済力を持っていました。政治と経済を切り離して考えることができないのは、コロナ対策を含めて、現代も同じです。
人間は考える葦である
フランスの数学者・宗教・哲学者であるパスカルの『パンセ』(瞑想録)の中に、「考える葦である」があります。
・・・人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。彼をおしつぶすために、宇宙全体が武装するには及ばない。蒸気や一滴の水でも彼を殺すのに十分である。だが、たとい宇宙が彼をおしつぶしても、人間は彼を殺すものより尊いだろう。なぜなら、彼は自分が死ねることと、宇宙の自分に対する優勢とを知っているからである。宇宙は何も知らない。だから、われわれの尊厳のすべては、考えることのなかにある。われわれはそこから立ち上がらなければならないのであって、われわれが満たすことのできない空間や時間からではない。だから、よく考えることを努めよう。ここに道徳の原理がある。
前田陽一・柚木康 訳 中公新書
傍線「宇宙は何も知らない」の箇所で、『宇宙』を『コロナ』と書き換えてください。分かり易くなります。
私たちは「弱い一本の葦」にすぎない。
現状は、コロナウイルスの脅威の前で立ち往生しているだけの「弱い存在」です。
しかし、私たちの尊厳は「よく考えて」、果敢に挑戦し、乗り越えるところにあります。これが「考える葦」の意味です。
私たちは、科学の知識を駆使して「ワクチンを開発」し新薬をつくろうとしています。
私たちは、「時間や空間」にうろたえてはならないのです。
どっしり構えて「緊急事態宣言」を有効化する知恵と連携・連帯が必要なのです。
受験アドバイス
デカルトは『方法序説』の中で「われ思うゆえにわれあり」Cogito・ergo sumといい、人間の「理性」について述べています。世界中のありとあらゆるものを“疑う”ことができる。しかし、どうしても疑うことができないのは、こうして“疑っている自分の存在”である。神から独立した「理性を持った人間存在」という点が、近代哲学の祖と言われるのです。デカルトは「解析幾何学」の基礎の「座標」の概念を初めて示した人でもあります。
こんな時は「学力到達度」に留意する
君が留意することは、学力の「到達度」を意識し、勉強に集中することです。
特に、映像授業では「質問をする姿勢」で受講することがポイントです。
お茶ゼミ√+のベテランの先生方は、経験値として「どこまで到達している生徒は、どこまで伸びて、どのレベルの大学に進学していったか」を知っています。
これを「見える化」して指導してもらってください。
受け身で受講してはいけません。
映像授業は「講義の質」にこだわってください。
「先輩たちは、この時期にはどの程度の学力に到達していたか」
「最先端の学力をつけているライバルは、どのレベルに達しているか」
などを考えて受講することがポイントです。
受験学力の格差を測る基準は、全国比較ではなく、「先輩との経年比較」です。「学力到達度比較」です。
- 自分は、どの教科の、どのレベルの学力が足りないか。
- いま何に集中したら良いか。不足している教科・範囲はどこか。
というようなことを考えるといいですね。
先輩たちの「到達度データ」を教えてもらい、それと比較して頑張るという姿勢です。
映像授業は、「何回でも受講できる」というメリットもあります。
やがて「講座が再開」されたなら、この姿勢が有効になるでしょう。
映像授業ではできなかった「基本を学び直す」のもいいですね。
コロナ騒動が終息した後も、講座と映像システムの両方を活用すればいいです。
映像を新しい「武器」に使いこなすのです。
そして、お茶ゼミ√+生は「お茶ゼミ模試」、「各種の小テスト」を受験して、先生たちに助言・指導してもらうといいですね。
基軸は模試の「過去のデータ」です。
お茶ゼミ√+の宝は「お茶ゼミ模試」「進研模試」のデータを内部保留しているはずですから、有効活用するといいです。
受験アドバイス
「入試センター試験」には二つの機能がありました。ひとつは「選抜」です。もうひとつは「学力到達度」です。コロナの影響もあって、「共通テスト」では、選抜機能が薄まるでしょう。逆に到達度を調べる役割が大きくなるでしょう。大学入試では「2次テスト重視」が予測されます。これは、私が9年前に朝日新聞に書いた流れです。<朝日新聞「私の視点」(2011・2・26 朝刊)>
コロナウイルスについての知識を再確認しましょう
もはや、「コロナウイルスを根絶させた世界」は期待できないようですね。
・・・としたら、受験勉強をする君は、手洗い・マスク・うがいなどを継続的に実施し、これに負けない「覚悟」をして勉強に集中するのがベストですね。
恐れることはない。焦ることはない。「これが常態なんだ」という割り切りの中で、「いまやるべきことに集中する」という意味です。
専門家の方々も「コロナウイルスは簡単には消えない」・「コロナウイルスと共生していくしかない」と発信していますね。
私も「第22回」に触れましたが、私たちは、200種類以上のライノウイルス・インフルエンザウイルスなどの中で生活をしているのですから、この多種多様なウイルスを根絶することはなかなかできないと思います。
新型コロナウイルスはリボ核酸(RNA)を遺伝子に持ち、「柔軟な粘土のような働き」をしますから、15日に一度「遺伝子配列が変わる」という学者もいるようです。
だからRNAを遺伝子に持つウイルスは、今後も変異を繰り返し、私たちを襲ってくると覚悟した方がよさそうです。
人間がコロナウイルスに勝利すると考えるより、ウイルスと「共生する道」を探すと発想を転換するのです。
君の受験勉強も、コロナウイルスに振り回されず、長丁場になっても大丈夫な姿勢を確立しましょう。
あせらず、じっくりと「君の大志」から目を離さず、愚直に頑張りぬくことにしましょう。
ぶれない姿勢を貫きましょう!
受験アドバイス
1525年頃、インカ皇帝ワイナ・カパックはエクアドルの滞在先で赤い斑点ができる謎の病気にかかり亡くなりました。この病気の正体は「天然痘」でした。スペイン人がヨーロッパから持ち込んだ「天然痘ウイルス」は、人から人へと感染し、とうとうインカ人にまで伝染。その結果、数百万人のインカ人が亡くなったと考えられています。
インカ帝国には「文字」がありませんが、独特の「キープ」が記録を残していました。実際に見ると、すごく複雑で、記号以上の複雑な結び目です。これはしっかりした体系を持ち、言語情報を含んでいたようです。王や役人は必要な情報などをキープに記録し、その作製および解読を行うキープカマヨック(キープ保持者)と呼ばれた役人がいたようです。しかし、帝国は滅亡し、キープを解読できる人はいなくなりました。
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