分かれ道:コロナ後の世界と新学期~全く異なる展開に適応する知恵~
はじめに
君は、いま大きな「分岐点」にさしかかっていますね。
「コロナ後の環境変化」と「新学期」です。
率直に言って、君の「学びの環境」は、リモート授業・講座・ディスタンスで、激変してしまいましたね。すでに実感しているでしょう!
いや、これからはこの「当たり前」がもっと広く・深くなるでしょう!
新しい学校・新しい学年・新しい友達・新しい講座・新しい指導者・・・
3月から4月にかけての、信じられない展開が、すでに始まっていますね。
いま、受験生である君には、「学ぶ目的」を鮮明にする必要があります。
今回は、コロナ禍の受験生が理解しておきたいことをまとめてみましょう。
コロナ禍のキーワード
コロナ禍のキーワードを大学入試にからめてふたつ。
「COVAX(コバックス)ファシリティ」と「Quarantine(隔離)」です。
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「COVAX(コバックス)ファシリティ」は、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)が、WHO(世界保健機関)と協力して主導するワクチン共同購入の仕組みです。2020年に発足した組織のことです。2017年ダボス会議の決議にそったもので、ノルウエーに本部があります。
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「Quarantine」は、「伝染病の蔓延を防ぐための隔離」のことです。
このふたつは入試対策というより、人類が当面している「障壁(コロナ禍)」に対応するものですから、官・民連携で、世界中の人間が一致団結して立ち向かうものです。当然、今度の2022年度入試に深く関係します。
RNA(リボ核酸)ウイルスは多様に変化します
いま、コロナウイルスの感染が大問題になっていますね。イギリス型・南アフリカ型・ブラジル型・フィリピン型など「変異種」の感染力が強く、対応するワクチンの確保が問題になっていますね。この「“いわば粘土”のRNAウイルス」は、変異が起こりやすいのだと聞きます。だから、今後も多様な「変異種」が生まれる危険性があるわけです。
しかし、変異するウイルスに「対応ができるワクチン」が、いまのところ明確にないのだそうですね。困ったことです。
受験アドバイス
リボ核酸(RNA)は、1868年に、フリードリッヒ・ミーシャ(スイス)が発見したもので、核内から発見されたために「核酸」と命名されたのだそうです。「Ribonucleic」に「acid」(酸)をくわえて、生化学の専門用語で「リボ核酸」というのだそうです。アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)の4種の塩基配列で構成されているそうです。私たちが馴染んでいるDNA(デオキシリボ核酸)と、「アデニン、グアニン、シトシン」は核酸塩基が同じです。私は素人ですからこれ以上述べることは避けますが、「リボ核酸=Ribonucleic acid」は、2022年度入試でマークする語です。
COVAX(コバックス)ファシリティ
「COVAXファシリティ」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを、複数国で共同購入し、公平に分配するための国際的な枠組みです。
この世界的な危機の中で、新型コロナウイルス感染症ワクチンの「調達」・「供給」・「輸送」は、これまでにないほど世界規模で必要なことです。
だから、世界最大のワクチン調達者であるユニセフ(国連児童基金)が中心になって「COVAXファシリティ」の役割を担っているのです。しかし、「資金」が十分にないことや、各国の思惑が交錯して難題を抱えています。次年度入試の「キーワード」のひとつで「コロナ禍の基本」ですから再確認しましょう。
受験アドバイス
COVAXファシリティへの加盟国は、日本・イギリス・フランス・ドイツ・アメリカなど190か国です。20億回分の新型コロナウイルス感染症ワクチンを、すべての国の人々に公平に届けることを目指しています。しかし、現在のワクチンは「予防」のためのものであり、「治療」のためではありません。
だから、マスクをすること・指先の消毒を徹底すること・ソーシャルディスタンスを守り「密」にならないことなどが要求されているのですね。
Quarantine(隔離)という単語に注意しよう
2021年の早稲田大学・文化構想学部のキーワードは、「Quarantine」でした。この語を理解していた受験生は、難しい長文をやすやすとクリアできたでしょう。しかし、これが分からなかった受験生は苦戦したようですね。
「quarantine」について、お茶ゼミ√+の尾形明彦先生がブログ『難関国立・早慶 合格の流儀』で2回書かれています。2020年6月24日のブログ『単語は裏切らない』では、この語源はイタリア語であり、入試でマークするべきだと書かれています。また、2021年2月24日のブログ『早慶入試』では、早稲田大の入試で数回出題されていると指摘されています。鋭く的確です。
この語は、英検1級レベルの単語(英和辞典)だそうですが、「伝染病の蔓延を防ぐための隔離」ですから、2022年入試では、より多くの大学で出題すると考えるといいでしょう。
コロナの関連用語では「飛沫=splash」「全国に広がる=pandemic」「距離を置かせる=distancing」「唾液=saliva・spit」「消毒=disinfection」に注意しましょう。英語だけの問題ではありません。いろいろな教科で出題されるでしょう。
受験アドバイス
2020年1月20日。横浜港に寄港していたクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセスに乗船していたひとから「SARS-CoV-2」が発見され、日本の「海上検疫」が始まりました。「海上検疫」は、ペストを恐れたベネティア共和国が、1377年に検疫法を通して「隔離」をしたのが最初です。
これは私の第22回のブログに書きましたので確認してください。この回では、文学作品に描かれたペストについて触れています。ボッカチオの『デカメロン』・カミユの『ペスト』などです。コロナとペストは似ているのです。第29回には「新薬の開発・賢者の石」に触れました。
新型コロナウイルスワクチン(COVID-19ワクチン)
「新型コロナウイルスワクチン(COVID-19ワクチン)」について理解を深めておきましょう。
「ファイザー」や「モデルナ」のmRNAワクチンが実用化され、世界中で接種されています。この技術自体は、20年以上研究されてきたものだそうです。
特徴は、免疫が攻撃対象にするスパイクたんぱく質をつくりだす遺伝情報を「人体外で作成」し、埋め込む技術だそうです。
スパイクたんぱく質とは「ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なたんぱく質」のことで、免疫でこれを攻撃するように仕組むのです。mRNAワクチンを接種して「mRNAがヒトの細胞内に取り込まれる」と、mRNAを基に、ヒトの細胞内でウイルスのスパイクたんぱく質が産生される。すると、そのスパイクたんぱく質に対してヒトの免疫系が反応をして“免疫”(次に同じものを見つけると速やかに多くの免疫をつくりだすチカラ)ができるのだそうです。
この点(人体の中でスパイクたんぱく質をつくる)が、外で似たものをつくって体内に投与する「これまでの方法」と異なるのですね。ちょっと専門的で「教科・生物」を入試で選択する人以外では難しいですから、専門的に知りたい人は、自分で調べてください。
受験アドバイス
君は、レイチェル・カーソン著『沈黙の春』を読んだことがありますか?
いまでは環境問題の古典になった本ですが、「パリ条約」はこの本の延長線上にあります。高校の授業の中で、「寓話」の部分だけ読んだところ、ものすごい反響がありました。『沈黙の春』・「パリ条約」も2020年の入試のキーワードです。
「ワクチン接種」を体験した教え子の医師が便りをくれました。彼によれば接種の1回目は、2日間肩が痛い程度で、2回目の接種では、倦怠感、悪寒、頭痛があり、2日後にはすっきり軽快したそうです。マスコミで報道されているように、女性に副反応が多く出ているようですが、これは「化学物質過敏症患者」における男女比率と似たような形だそうです。私は、根拠なしに「女性のほうが化粧したりする機会が多いからかもしれない」と思っていますがどうでしょうね。君はこの分野の研究もいいじゃないかと思います。
自然界のものは自然界へ
私の、素人考えですが・・・「コロナが、自然界から発生したウイルスならば、自然界に天敵がある」のではないかと思います。しかし、コロナがもし「実験室で合成されたウイルス」ならば、自然界の「抗体」の発見は期待できないだろうと考えています。
だから、WHOの調査隊が、中国・武漢で行った時は「最初のウイルスがどんなものであるか」に非常に関心がありましたが「曖昧」でしたね。私は、第29回『新薬の開発と賢者の石』(2020年6月1日)の中で、大村智先生の「イベルメクチン」に期待していることを書きましたが、大村先生が、大量で、広範囲の土の中から「イベルメクチン」を発見したという話を聞いて、コロナの場合も同じようになればいいと期待したのです。
勿論、こうした発想と研究・調査には「莫大な費用」がかかるし、「データの共有」など簡単にできる作業でありませんが、世界中の国家・民間団体・企業・研究者が「協力する価値」があると思います。
最近になって「イベルメクチン」は、専門家の皆さんの中でも話題になっているそうですね。
受験アドバイス
新学期ですね。受験生の君は「目標」を鮮明に立てて、果敢に闘いに挑んでください。受験勉強は、一生の夢をかけても余りあることです。
- 早急に、志望校を決めて、自分が「到達したい学力」を決めてください。
- 「目標レベル」に達するには、いつまでに、何を、どのようにするか。
- 6月まで、5月まで、4月までを「逆算」して、7月の「進研模試」を受験してください。この進研模試は、高3生の「40万人以上」(大学受験をする高校生の80%)が受験します。だから、受験生として、「自分が全国的にどんな位置にいるか」がわかるから重要です。
戦いには、ふたつの敵がいます。ひとつ目は「外敵」です。友人・ライバルです。
ふたつ目は「内敵」です。これが強敵です。言い訳・諦め・甘えです。
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